表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/340

34.円満の秘訣は心得てるよ

 志武家の小学生は4人組で服を選んでいた。

 ミドリ(小5)が、ヒロシ(小4)、モモコ(小2)、タダシ(小1)を引き連れて服を買っている。

「ヒロシ、このシャツどう?」

 ミドリが男児用のシャツを1枚指してヒロシに聞いた。

「いいんじゃないか」

 ヒロシが答えた。

「やっぱりこっちがいい?」

「それもいいんじゃないか」

「それとも、こっちかな?」

「どれでもいいんじゃないか」

「ちょっと、どれでもいいとは何よ。ちゃんと真剣に選んで」

「やだなあミドリ姉ちゃん違うよ。姉ちゃんが僕のために選んでくれた服なら、どれだって喜んで着るという意味じゃないか」

「なんだそうなの、それならそうと言ってよね」

 ミドリは再び上機嫌で服を選び始めた。

 さすがに姉妹が6人もいると、志武家の男性陣は女心を損ねない対応を心得ているのだ。

 小2のモモコもちゃんと姉ぶりを発揮して小1のタダシの服を選んでいた。

「じゃあ、タダシはこれね」

「うん」

「でも、やっぱこれ」

「うん」

「いや、ちがうなーー、こっちじゃなくてこれ」

「うん」

「タダシ。うんうんばっかりで、自分の意見は無いの?」

 意見を言ったって、結局お姉ちゃんが決めちゃうじゃんか――などとは言わないのが姉弟円満の秘訣だ。

「うーん、これにしよーかなー」

と、一応は言ってみる。

「え、これがいいの? いや、タダシにはこっちの方が似合うわよ」

「うん」

 タダシもこれ以上は何も言わない。

 服売り場より、おもちゃ売り場に早く行きたいから、モモコが選び終わるのを、時々会話に応じながら待っているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ