33.今度私の番ね
キイロ(中2)はコウジ(中1)とペアで服を買っていた。
実は2人が着ている服は新品というわけではない。
それぞれ、2人ずつの兄と姉が、かつて着ていたお下がりだ。
兄弟6人、姉妹6人の志武家。
兄や姉が着た服は、順に弟・妹たちが着る事になる。
といっても、ツヨシ(大2)やアオイ(大1)が着た服が、末の弟妹ダイゴ(年少)・チャコ(年中)までもつわけではない。
流行もある。
そういった事を、いろいろ考えた上で服を買うのだ。
たくさん服を買って、兄弟姉妹でたくさん着る。
ハヤト(高1)との買い物で、アカネ(高2)が結局服を全部買っちゃっていたのも、そういうわけからだ。
志武家の男性陣は、服選びといった事に向いていないので、女性陣にお任せだ。
コウジもまた、キイロの着せ替え人形状態になっている。
2人の着た服は、いずれ下3人ずつの計6人の弟妹たちが着る事になるので、選ぶ目も真剣だ。
コウジもキイロに30回ぐらい試着させられて、ようやく買う服の選定が終わった。
「ふうー、やっと終わった」
笑顔になったコウジがほっとするのもつかの間。
「じゃ、今度私の服選ぶね」
そうだった。
コウジの分だけ選んで終わりではないのだ。
次はキイロの服選びが待っている。
コウジは笑顔でかたまった。