337.バースデーバトル3
「ミドリ、じゃあ、そのミカエル君って子の誕生会行くのか」
志武家の浴室。
その夜は、キイロ(中2)、コウジ(中1)、ミドリ(小5)の3人で風呂に入っていた。
「うん。ジュンのお店のケーキも買ってくれるっていうしね」
コウジとミドリで湯に浸かり、キイロは浴槽の外で頭を洗っている。
「俺、今日、アネキとシュウトの見舞いに行ってきたんだよ」
「シュウト君って……、コウちゃんの友達の?」
「ああ。実は、あいつこないだ誕生日でさ。家族でケーキ買って祝ったらしいんだが……、その後、家族全員体調崩してしまい、学校休んでるんだ」
コウジの言葉に、ミドリはいやな予感がする。
「まさか、そのケーキって……」
「そう、チェリーブロッサムのケーキ。ミドリの友達のジュンって子んちの店のだよ」
「……」
「ま、あいつも、こないだガイチュラに襲われたばかりなのに、災難続きで気の毒だけどな(第294話参照)」
「それでね、そのシュウト君の様子を見て思ったんだけど……」
シャワーで頭の泡を流し終えたキイロが浴槽に入ってきた。
「わあ、アネキ、無理無理入るなよ」
「いいじゃん、いいじゃん」
コウジの横にキイロが強引に入ってきた。
お湯があふれる。
コウジは、浴槽の中でキイロとミドリに密着して挟まれ、サンドイッチ状態だ。
「話聞くと、いろいろ不自然なんだよね。なんか、家族全員、ケーキ食べてたら、急に眠気に襲われて気を失ったって」
キイロの言葉にコウジが続けた。
「にーにとアオ姉から飛鳥選手の話聞いただろ? それにビデオで見たライノス斉藤選手の試合」
飛鳥選手と斉藤選手はプロレスラー。
覆面レスラー「クラッシュゴースト」と、その正体がガイチュラであることを知らずに戦ってしまい、生命エネルギーを吸われて極度に衰弱させられるめに遭わされてしまった。
「急に弱ってしまうって……、なんかガイチュラの仕業っぽくないか?」
コウジの言葉にうなずくミドリ。
「確かにそうだね……」
ケーキを食べた人たちの体調不良がガイチュラの仕業だというのなら納得がいく。
ジュンの店チェリーブロッサムには何の落ち度も無かったわけだ。
友人のジュンを悲しませた犯人がガイチュラというのなら、ミドリは許すわけにはいかなかった。
「もし、ガイチュラの仕業というのなら、私、ミカエル君の誕生会でガイチュラを倒し、チェリーブロッサムの潔白を証明してみせるわ」