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331.ボンバーマスク13

「飛鳥、来客だぞ」

 ブラストジャパンの道場でウェイトトレーニングをしていた飛鳥竜太郎に、ホエール鯨井が声をかけた。

「来客? 誰ですか」

「さあな、よく分からん。なんか、ちっちゃい子とか、女の子とか、いっぱい来たぞ」

 その鯨井の説明で、飛鳥には来客が誰なのか見当がついた。

 道場の裏手の駐車場に、そのちっちゃい子とか女の子たちとかは居た。

 志武12兄弟姉妹であった。

「志武、来てくれたのか」

「もうすっかりいいようだな、飛鳥」

 飛鳥竜太郎と志武ツヨシは固い握手を交わした。

「アオイちゃんも、ダイゴもありがとう。ええっと、他の子たちが――」

 残りの9人を飛鳥が順々に見る。

「妹のアカネです」

「ハヤトです」

「キイロね」

「コウジです」

「ミドリです」

「俺、ヒロシ」

「モモコだよ」

「タダシ」

「チャコでーーす」

 立て続けに兄弟姉妹たちが名乗った。

「うわ、ごめん。いっぺんに覚えられないわ」

 たじたじとなる飛鳥。

 兄弟たちが笑った。

「はは、いいさ、それで。復帰試合決まったんだってな」

 ツヨシが尋ねる。

「ああ、2週間後だ。リングネームも今回の一件でボンバーマスク・フェニックスというのに変わる事になった」

「へえーーー、かっこいいね」

 ダイゴが嬉しそうに言った。

「ところで志武」

「ん?」

「あの、ガイチュラを倒したボンバーマスクって……、ひょっとしてオマエか?」

 場が静まり返った。

 次の瞬間、一同大爆笑。

「何言ってんだ、そんなわけないだろう」

 ツヨシが飛鳥の肩を叩いた。

「だ、だよな~~」

 飛鳥も笑った。


 その帰り道の車中。

 志武家の車は、外国製の10人乗り大型車だ。

「にーに、びっくりしちゃったね。飛鳥さんがガイチュラ倒したボンバーマスクのこと、にーにだとか言っちゃうから」

 ミドリが言った。

「ま、冗談だろうけどな、ちょっと焦ったよ。あ、それとな、ミドリ」

「なあに?」

「あの時、助けてくれてありがとう。だが、これからは、ああいったモノに素手で触れるのはやめてくれ。もし、硫酸や塩酸みたいなモノだったら、大怪我するからな。幸いネバネバしている以外、害は無い物だったから良かったが……」

「うん、でも、にーにの事が心配で夢中だったんだもん」

「ああ、サンキュー。こんな兄想いの妹もって、俺は幸せだよ」

「ちょっとにーに、ミドリがにーにの近くに跳べたのは、あたしがテレポートで運んだからなんですけど」

 キイロが後ろの座席からツヨシの横にひょいと顔を出した。

「そうだったよな、キイロがいてくれたおかげだ」

「にーに、うまくできなかったけど、私も頑張ったのよ」

「俺もだぜ」

「にーにのピンチにいち早く気づいたのは私だからね」」

 アオイにヒロシ、アカネも貢献をアピール。

 ほか、ハヤトもコウジもモモコもタダシもチャコもダイゴもそれぞれ先の戦いでの自分の貢献度のアピールを始めた。

 帰りの車中は、弟妹たちの、長兄ツヨシへのアピール合戦で賑わったのであった。

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