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329.ボンバーマスク11

 正体を現したクモ・カメ・イソギンチャク型ガイチュラ(以下クモガメ)。

 その体長は頭部から腹部の末端までで3~4メートル。

 だが、6本ある脚を広げたら、横は10メートルを超えそうだった。

 6メートル四方のリングの中で向かい合う、ボンバーマスクとクモガメ。

 クモガメが先に動いた。

 動かしたのはその背中の触手であった。

 四方八方に伸ばし、逃げ惑う観客たちを突き刺そうと狙った。

「させるかよ!」

 気体を操る能力をもつコウジが、真空のやいばかまいたちをそれら触手に放った。

 観客達の体に突き刺さろうとしていた触手の先端が切断された。

 コウジは体は無動作で、ただ念じるだけでカマイタチを放ったので、触手の切断がコウジによるものだとは、誰にも分からなかっただろう。

 だが、クモガメは触手を数本切断されたくらい、なんでもない様子だった。

 追加の触手を背中のイソギンチャクから大量に生やし、観客達を狙い始めたのである。

「うわ、大量に出してきたな!」

 コウジが叫ぶ。

「「手伝うよ!」」

 モモコとタダシが同時に叫んだ。

 コウジ同様、モモコもタダシも念じるだけの無動作で発火能力と電撃能力を発現させた。

 ある触手は先端から突然発火し、焼け落ちた。

 またある触手は、天井のライトから落雷を受け黒焦げとなった。

 クモガメと対峙していたボンバーマスクが叫んだ。

「おまえの相手は俺だ! こっちへ集中しろ」

 クモガメに殴りかかるボンバーマスク。

 そこへクモガメは、口からねばねばした粘液状の糸を吹きかけた。

 ボンバーマスクは覆面の上から白濁色のそれをかぶってしまい、視界を奪われた。

 覆面を脱げば済む事だが、それではボンバーマスクの正体が飛鳥竜太郎ではなく志武ツヨシである事がばれてしまう。

 観客達の中には少数ではあるが、逃げずにスマートフォンでボンバーマスクとクモガメの戦いを撮影している者達が居た。

 覆面を外した姿をネットにでも流されたら、志武12兄弟姉妹たちがタダモノではない事が、あっという間に世間に拡散してしまうだろう。

 覆面は脱げない。

 ボンバーマスクは見当をつけて拳を振るったが、それはクモガメから外れてしまった。

「にーにがやばいよ! アオ姉の力でアレ取れない?」

 アカネが叫んだ。

 “アレ”とは、ボンバーマスクが覆面の上から浴びせられてしまった粘液状の糸の事だ。

「やってみる」

 アオイは念力を放った。

 しかし、うまく作用しない。

「固体じゃないから無理みたい! ヒロシはどう?」

 アオイは液体操作能力者であるヒロシを呼んだ。

 言われてヒロシも念じた。

 やはり、うまく作用しない。

「ああいう、固体と液体の中間みたいなやつは、俺も難しいぜ!」

「私がやる!」

 叫んだのはミドリだった。

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