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327.ボンバーマスク9

「さすが、にーにだね」

 観客席のダイゴが言った。

 その言葉に10人の兄姉たちがウンウンとうなずく。

 そう。

 なぜ、観客席に志武兄弟姉妹たちが11人しか居なかったのか。

 実は観客席に居なかったツヨシこそ、今ボンバーマスクの覆面をかぶり、クラッシュゴーストとして対戦しているレスラーその人だったのである。

 人間離れした力をもつクラッシュゴーストの正体を探るため、ツヨシはボンバーマスクの覆面をかぶり、この会場に現れたのだ。

 どのような攻撃も弾き返す強靭な肉体と、無尽蔵のパワー。

 その能力の持ち主であるツヨシでなければ、覆面レスラーとしてクラッシュゴーストと戦う事はできなかっただろう。

 クラッシュゴーストが、滅茶苦茶にボンバーマスクに対し、パンチとキックの雨を降らせた。

 これまでどのレスラーに対しても余裕の戦い振りを見せていたクラッシュゴーストが、初めて見せるなりふり構わなさだった。

 だが、ボンバーマスクは両手を腰に当てたまま、銅像のように動かない。

 この攻撃を受け続けていたボンバーマスクの覆面の下の志武ツヨシは、1つの確信に達していた。

 ――クラッシュゴーストは人間ではない!

 クラッシュゴーストのパンチとキック、そのスピードとパワーは明らかに常人のそれを大きく上回っていた。

 自身の体に受けながら、ツヨシは結論づけた。

 ――人間でないのならば遠慮は要らない!!

 ツヨシことボンバーマスクは、飛び上がると、右拳を握り、振りかぶった。

 さきほど、クラッシュゴーストがホエール鯨井に対して下そうとした脳天直撃パンチである。

 ボンバーマスクのパンチは速く、クラッシュゴーストにかわす隙を与えなかった。

 パンチは垂直にクラッシュゴーストの脳天に叩き込まれ、まるでハンマーで打ち込まれる釘のように、クラッシュゴーストの体は垂直にリングにめり込んだ。

 観客がどよめく。

 クラッシュゴーストもそうだが、ボンバーマスクのこのパンチもどうやら通常の人間の行いではないからだ。

 リングに大穴が開き、クラッシュゴーストはその穴の中に姿を消した。

 穴を覗き込むボンバーマスク。

 その穴の中から、いきなり数本のとがった触手がうねうねと伸びてきた。

 ボンバーマスクは跳び退いた。

 おそらくどのような攻撃を受けても平気であろうツヨシの体ではあるが、油断は大敵である。

 用心に越した事はない。

 穴の縁にクラッシュドラゴンの指がかかった。

 続いて反対側の腕が現れて肘を突き、クラッシュドラゴンがその上体を穴からのぞかせた。

 会場内に観客達の悲鳴が轟いた。

 なんと、穴からのぞかせたクラッシュドラゴンの上半身の背中から、十数本の触手がうねうねと伸びていたからである。

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