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323.ボンバーマスク5

 試合開始のゴングが鳴った。

 プロレス団体ブラストジャパンのナンバーワン、ホエール鯨井 対 正真正銘謎の覆面レスラー、クラッシュゴーストの60分1本勝負である。

 観客席には志武兄弟姉妹たち――アオイ(大1)、アカネ(高2)、ハヤト(高1)、キイロ(中2)、コウジ(中1)、ミドリ(小5)、ヒロシ(小4)、モモコ(小2)、タダシ(小1)、チャコ(年中)、ダイゴ(年少)らの顔があった。

 ホエール鯨井の年齢は40代半ば。

 既にレスラーとしてはパワー、スピードのピークを過ぎているが、その老獪なテクニックによって若手レスラーの追撃を退け、チャンピオンの座を維持していた。

 覆面はかぶっていない素顔のレスラーである。

 一方のクラッシュゴーストは真っ黒の覆面をかぶったレスラーだ。

 視界や呼吸がきちんと確保できているのかも怪しい不気味な覆面だった。

 全身真っ黒なコスチュームに身を包み、胸元には幽霊を思わせる不気味なイラストが白で描かれている。

 その名の通り、これまで何人ものレスラーを破壊クラッシュして病院送りにしてきた幽霊ゴーストだ。

 身長は2メートル近く。

 体重も150kgとの事だった。

 180cmを少し超えるホエール鯨井より二回りも三回りも大きい巨漢レスラーである。

 中央で組み合おうと、クラッシュゴーストが両手を伸ばしてきたが、ホエール鯨井は避けた。

 これまでの試合では、どのレスラーも最初の組み合いで力負けさせられた後、関節技で全身の骨を砕かれている。

 ホエール鯨井は、組み合いを裂け、打撃主体で戦う方針だった。

 ホエール鯨井は、伸ばしてきたクラッシュゴーストの腕にハイキックを見舞った。

 ばちっと大きな音が会場に響き、観客がどよめいた。

 普段のホエール鯨井だったら、相手レスラーと組み合って技の応酬を見せ、観客を楽しませるプロレス試合をする。

 しかし、今日のホエール鯨井は、観客を楽しませる事より、とにかくクラッシュゴーストを倒す事だけを考えていた。

 そもそも、クラッシュゴーストは試合内容に気を遣って倒せるようなやわな相手ではないのだ。

 試合内容はどうでもいい。

 クラッシュゴーストを倒す事だけが最優先だ。

 クラッシュゴーストはホエール鯨井に組み合う気が無い事を悟ると戦法を変えた。

 強力なタックルを見舞ってきたのだ。

 高速だった。

 辛うじてかわすホエール鯨井。

 クラッシュゴーストがコーナーポストに激突した。

 観客から悲鳴が上がった。

 なんと、鉄柱であるコーナーポストが曲がっていたのである。

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