299.パイロットへのスカウト2
「ちょっと、考えさせてください。あ、それから……、俺の姉は、この話知ってるんすか?」
リョウとマリは顔を見合わせた。
「いや、話してないよ。マリも言ったように、これは秘密の話だし、当事者は君だ。アカネ君にももちろん話はするが、まず君に話すのが筋だと思ってね」
確かにリョウの言う通りだろう。
だが、ハヤトとしても、一存で決めるわけにはいかない。
やはり兄弟姉妹に相談すべき事だ。
「俺、今晩、兄弟たちにこの事を話そうと思うんですが……。その前に、一応お二人からも俺の姉にだけは先に話をしてもらえませんか」
「そうだな、分かった。じゃあ、一緒に生徒会室に行こう」
生徒会室メンバーと共に、アカネは生徒会室に居た。
他の者達に席を外してもらうように頼み、生徒会室にはアカネ、ハヤト、リョウ、マリの4人になった。
「ハヤトをロボットのパイロットに……?」
リョウとマリの申し出に、アカネも驚きを隠せない様子だった。
「ああ……、君はハヤト君の姉だし、同じ高校に居るしな……。ハヤト君に伝えたら、当然、君にも伝えなくてはならない。ハヤト君自身からもそういう言葉があったしね」
「そうですか。――分かりました。でも、この事は兄弟たちで相談させてください」
「もちろんだ。いい返事を期待しているよ」
その日の夜の、志武家の居間。
「なに、スーパーロボット? ファイタスのバグストライカー以外に、そんなものがこの日本にあったのか?」
「まあ、バグストライカーは、別に日本のロボットじゃないけどね」
アカネとハヤトから話を聞いたツヨシ(大2)とアオイ(大1)が兄弟会議の口火を切った。
「ロボット? 僕も乗りたーい」
「あたしもーー」
ダイゴ(年少)とチャコ(年中)はのん気なものだ。
「あたしたち、せっかく“チカラ”に目覚めたんだし……、そんなロボットに乗らなくてもいいんじゃないの? かえってチカラを使いにくいんじゃない?」
「そうだよな。ファイタスの話じゃ、俺達のチカラは、バグストライカー以上だったっていうじゃないか」
キイロ(中2)とコウジ(中1)は慎重だ。
「それ、どんなロボットなんだ? バグストライカーより強いのか?」
「小学生でも操縦できるかなーー」
男子小学生のヒロシ(小4)とタダシ(小1)は、やけに瞳がきらめいていた。
「アニキ、そんなの乗って怪我しない?」
「アニキ、そんなの乗って乗り物酔いしない?」
女子小学生のミドリ(小5)とモモコ(小2)は、瞳が曇っていた。
「まあ待て。話を整理しようじゃないか」
ツヨシが皆を制した。