表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

293/340

292.風よ光よ1

 ミドリとヒロシが公園でガイチュラに出くわしたのと同じ頃。

 コウジもまた中学校の校門でキイロを待っていた。

 こちらもまた、待ち合わせて帰るためだ。

 キイロは能力に覚醒しているが、コウジはまだ覚醒していない。

 校門の所で待っていると、シュウトが話しかけてきた。

 キイロに興味を示している、コウジの同級生だ。(75話参照)

「コウジ、まだ帰らないのかよ。どうしたんだ?」

 よりによって、面倒な時に面倒なのが来たと思ったコウジだが、邪険にするわけにもいかない。

「まあ、ちょっとな」

「ちょっとって何だよ」

「ちょっとは、ちょっとだよ」

「誰か待ってんのか」

 門の所に立っているのだから、誰かを待っていると考えるのが普通だ。

「まあ、ちょっとな」

「誰だよ、友達か」

「違うよ」

「まさか、女子か!?」

 急にシュウトのテンションが上がった。

「まあ、女子は女子だが」

「なにい、ほんとに女子なのか! 何組の誰だよ?」

 シュウトの問いに女子の声で返事があった。

「2年3組の志武キイロだよ」

「え?」

 声のした方に振り向くシュウト。

 コウジの姉キイロが立っていた。

「いやあ、キイロさんじゃないですか」

「こんにちは。シュウト君」

「あ、僕の事を覚えてくださっていたんですか、キイロさん」

「前と同じリアクションだね」

「そんな事まで覚えていてくれたんですか、感激だなあ」

「今日はお母さん、来てないんだね」(93話参照)

「いやあーー、キイロさん、キツイっすねーー」

 コウジが会話に入った。

「さ、シュウト、俺が誰と待ち合わせているか分かっただろ」

「うん、分かった」

「じゃあな」

「なんで?」

「なんでじゃないだろ」

「なんでじゃあるよ」

「なんだその日本語」

「俺もキイロさんと帰りたい」

「家の方向が違うだろ」

「でも、道は途中までは一緒じゃんか。それに――」

「それに?」

「今は、ガイチュラが出て、いろいろ物騒だ。いざという時は、俺がキイロさんをお守りする!」

 それなら俺が守る――と言いたいコウジだったが、逆にキイロに守ってもらわなければならないのが現実だった。

 今日キイロを待っていたのだって、もしコウジが1人で帰っている途中でガイチュラに出くわした場合、コウジには戦う術が無いからだった。

 兄弟達同様、その時になれば能力が覚醒するかもしれないが、それは判らない。

 だから念のため、キイロと一緒に帰るのだ。

「ここで3人で言い合っていてもなんだし、とりあえず行こうよ」

 キイロは、先に歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ