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289.見えないチカラ3

 男性の目が飛び出し、口からは無数のヒゲのようなものが生えてきた。

 体が膨れ上がり、服が裂ける。

 体はごつごつした甲殻に覆われ、両手は巨大なハサミに変化した。

 カニの化け物だ。

 悲鳴を上げる子どもたち。

「カニの姿かよ! ガイチュラって昆虫タイプじゃなかったのか?」

「昆虫もカニも、節足動物っていう種類なのよ!」

 こんな時のヒロシの疑問にも、律儀にミドリは答えた。

 子どもたちが逃げ出した。

「逃がさんがに!」

 カニ型ガイチュラはいくつもの泡を吐いた。

 その泡が巨大な球体となり、次々と子どもたちを捕らえた。

 泡のカプセルの中に捕らえられ、動けなくなる子どもたち。

 捕らえられていないのは、ミドリ、ヒロシ、そしてその場に立ちすくんで動けなかった数人の子どもたちだけだった。

「次はおまえたちだがに!」

 カニ型ガイチュラが泡を吐いた。

「させるかよ!!」

 ヒロシが叫ぶやいなや、公園に突如ドシャ降りが起こった。

 その豪雨の勢いに子どもたちを包んでいた泡が消失する。

 空は晴れている。

 そう、水を操る能力をもつヒロシが、公園にだけスコールをもたらしたのだ。

「ム、これは……。一体どういう事だがに?」

 カニ型ガイチュラがいぶかしんだ。

 泡のカプセルから解放された子どもたちは、散り散りに逃げ去った。

 その場に残ったのは、ミドリとヒロシ、そしてカニ型ガイチュラだけだった。

「まさか……。今、雨を降らせたのはオマエたちがに?」

 カニ型ガイチュラは、その巨大なハサミで2人を差した。

 カニ型ガイチュラには10本の手足があった。

 太い2本の足で直立して立ち、巨大なハサミのある2本の腕。

 そして、体の側面からは、3本ずつ計6本のとがった脚が生えていた。

「そうだけど!?」

 負けずにヒロシも右手人差し指でカニ型ガイチュラを差した。

 その指先から勢い良く水流が放出された。

 ヒロシの手がそのまま水鉄砲になったかのようだ。

 カニ型ガイチュラは腰を落とし、両手のハサミを交差させて水流を受けた。

 だが、ヒロシが指先から放った水流の勢いは強く、カニ型ガイチュラをその姿勢のまま10メートルも後ろに追いやった。

 ガイチュラの足が土をこすりながらえぐり取った2本の線が、線路のようにガイチュラと、ミドリ・ヒロシの間に引かれていた。

「むうう……、びりびりくるがに。何という衝撃がに」

 カニ型ガイチュラの驚愕が見て取れた。

 水とはいえ、高速で放出されれば鋼鉄に穴すら空けてしまう。

「今度は、もっと強いやつをお見舞いするぜ」

 ヒロシは今度は二丁拳銃のように両手を構えた。

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