280.変形、融合、超電攻撃4
「――って事は、アカネ、ハヤト、キイロ、ヒロシ、モモコ、タダシ、チャコ、ダイゴの8人が超能力に目覚めたって事か。おそらく、ツヨシ、アオイ、コウジ、ミドリも時間の問題だろうよ」
あいかわらずファイタスは窮屈そうに絨毯の上にあぐらをかいて座っていた。
「ファイタス。俺達は正直戸惑っている。今まで普通に暮らしていたのに、急にSF映画みたいな事態に巻き込まれてしまった。これから一体どうすればいいんだ……」
「ツヨシ、戸惑っているのは俺も同じだよ」
ファイタスはアオイが淹れてくれたコーヒーを飲んだ。
「もともと、ガイチュラどもが、俺のいた世界の地球から、こっちの世界の地球にやってきたのを追っかけて、俺はこっちへやってきたんだ」
ファイタスは兄弟達一人ひとりの顔を順に見た。
「そうしたら、行方不明になっていたおまえたちと、こっちの世界で再会しちまった。それだけでも驚いたのに、おまえたちは若くなってるわ、超能力は無くなってるわで、そりゃあびっくりしたぜ」
「びっくりしたのは、こっちだっておんなじよ」
ミドリが頬をふくらませた。
「ガイチュラなんて変な怪獣が出てくるし、大きなロボットは出てくるし……、ファイタスは、勝手にウチの学校の先生になっちゃうし……、それに……」
「それに?」
ファイタスはミドリの言葉を促した。
「正直不安なの」
「不安?」
ミドリはここで、話す相手を、ツヨシ、アオイ、コウジに切り替えた。
「私、別に超能力者になりたいなんて思ったことないけど……、現に12兄弟の内、8人が突然1日で超能力者になっちゃって……、逆に、そうじゃない、にーにや、アオ姉や、コウちゃんや、私はどうなんだろうって――」
「確かにそうね」
ミドリの言葉をアオイが引き取った。
「何だか、置いてきぼりにされたような不安感があるわ」
「そうでしょ、アオ姉」
「まあ、その心配は無いと思うぜ」
ファイタスが話に割り込んできた。
「ガイチュラに襲われたのをきっかけに、おそらく眠っていた超能力のスイッチが入ったんだよ。だから、またガイチュラに出くわせば……」
「もう、ガイチュラはたくさん!」
ミドリが声を大きくした。
「あんな怖い目にはもうあいたくないわ! それに、私やコウちゃんは……、ガイチュラに襲われたのに、超能力が目覚めなかった――」
「それは確かにそうだよな……」
コウジが言った。
同じ事をコウジも感じていたからだ。
公園でガイチュラに襲われたコウジ、タダシ、チャコ、ダイゴの中で、ただ1人、コウジだけが超能力に目覚めなかった。
自宅でガイチュラに襲われたキイロ、ミドリ、ヒロシ、モモコの中で、ただ1人、ミドリだけが超能力に目覚めなかったのと同じなのだ。