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269.超感覚と超高速1

 夕方の高校の生徒会室。

 その日の仕事を追え、生徒会のメンバーは帰宅していた。

 部屋に残っているのは生徒会長の志武アカネ(高2)。

 それと、アカネに請われてちょくちょく生徒会の仕事の手伝いに来ている弟のハヤト(高1)。

 その2人だった。

「なあ、アカ姉。どう思う?」

 夕日に照らされている校庭を窓から見下ろしながらハヤトが聞いた。

「どうって?」

 座っていた生徒会長の椅子をくるりと回し、アカネがハヤトの方を見た。

「決まってるだろ。ファイタスの話さ」

 ハヤトは校庭を見下ろしたまま話を続けた。

「話自体は、SF映画かアニメか何かかという感じだが……。実際、あのロボット――バグストライカーを見せられちゃ、嘘とは言い切れない――だろ?」

「そうよね」

 アカネは席を立ち、ハヤトの横に並んだ。

 身長はハヤトの方が10cmほど高い。

 抜かされたのは中学の頃だったろうか。

 妹のキイロ(中2)も、最近コウジ(中1)に身長を抜かされて悔しがっている。

 その内、自分もコウジに抜かされてしまうだろうか……。

 地球の、人類の命運を左右しかねない話をしながら、アカネは漠然とそんな事も考えていた。

 突如、校舎がぐらぐらと揺れた。

「きゃっ」

 ハヤトにしがみつくアカネ。

 弟もまた、姉をしっかりと抱き返した。

「ま……、まさか、見ろよアカ姉」

 左手でアカネを抱いたまま、ハヤトは右人差し指で校庭を指差した。

 校庭の真ん中の土を盛り上げ、1本の黒い巨大な角が生えてきたのだ。

「ガ……、ガイチュラ?」

 アカネの声が震えていた。

 その形状は、まさにカブトムシのものだった。

 しかし、大きさがまるで違う。

 角だけであのサイズということは、本体のサイズは30mは下らないだろう。

 遠足中の妹弟たち――ミドリ・ヒロシ・モモコ・タダシらを襲った奴と同様、巨大という事だ。

 夕方で少ないとはいえ、校舎内にはまだ生徒たちが残っていたようだ。

 校舎内がにわかに騒がしくなってきた。

 廊下を走る音、悲鳴、何かが倒れる音。

 揺れが激しくなってきた。

 角の主がその顔を地中から現した。

 やはり、顔はカブトムシのそれだった。

 だが、地球のカブトムシとは大違いだ。

 まるで肉食動物とカブトムシを掛け合わせて2で割ったような、奇妙な、それでいて獰猛な顔つきをしていた。

 公園に現れたクワガタタイプと同様、太いがっしりした6本の手足をもつその巨体を、カブツムシ型ガイチュラは校庭に現した。

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