表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/340

264.バグストライカー3

 それでも負けまいと巨大クワガタは角を閉じようとした。

 バキッと、物凄い音が辺りに響いた。

 巨大クワガタの角は、その付け根から粉々に砕け散ったのだ。

 すかさず、ロボットは右足で巨大クワガタを蹴り上げた。

 その巨体は、軽く100メートルは浮かび上がった。

 ロボットは両肩の砲門からビーム砲を放った。

 太い2本の閃光は、巨大クワガタのボディに収束。

 巨大クワガタは爆音と共に砕け散った。

 ロボットの圧倒的な勝利だった。

 ロボットは背中のロケットエンジンをひと噴射して宙に舞うと、ミドリ、ヒロシ、モモコ、タダシの眼前に着地した。

 大地が揺れる。

 ロボットはゆっくりかがむと、左膝を地に着けた。

 右手を胸元に持っていく。

 ロボットの胸元が開いた。

 中にはパイロットと思われる人間が座っていた。

 胸の中がロボットの操縦席になっていたのだ。

 パイロットは、ロボットの右手の平にぴょんと跳び乗った。

 右手はパイロットを乗せたまま、ゆっくり地上に降りてきた。

「大丈夫か?」

 フルフェイスのヘルメット越しに男の声がした。

 大柄な体格だ。

 テレビのロボットアニメでよく見るようなデザインのコスチュームに身を包んでいる。

 パイロットは、ミドリ、ヒロシ、モモコ、タダシに近づいてきた。

「ん……、おまえ……」

 パイロットはそこで言葉を切ると、ヘルメットを外した。

 30歳ぐらいの、外国人の男性だった。

「ミドリ……、じゃねのか?」

「「「「えっ!?」」」」

 驚く4人。

 ミドリに、30歳ぐらいの外国人の男性の知り合いはいない。

 もちろん、ヒロシ、モモコ、タダシにも心当たりが無い。

 それなのに、男性は、

「――って事は……、そっちのちっこいやつらは、まさかヒロシに……、モモコ、タダシか!? 間違いねえ。小さくなってるから一瞬判らなかったぜ!」

と、ミドリの事はもちろん、ヒロシ、モモコ、タダシの事まで知っている様子だったのだ。

「あ、あのう……、助けてくださってとてもありがたいのですが……。あなたはどなたでしょう? 私達、あなたの事を知らないのですが……」

「本当かよ? こりゃあ、いろいろと説明がたいへんそうだな……」

 外国人の男性は、欧米人がよくやる、やれやれといったオーバーアクションを見せた。

「おーい、志武ううーーーー」

「大丈夫かああーーー」

 遠くから声がした。

 巨大クワガタの危機が去ったからだろう。

 避難していた学校の教師達が、ミドリ、ヒロシ、モモコ、タダシたちのもとへ走ってくるのが見えた。

「おっと、このままここに居たんじゃ、面倒な事になるな。また、来るからな、ドライバウター」

 外国人の男性は、そう言い残すと、すばやくロボットのコクピットに戻り、ロボットを起動させると、あっという間に空高く飛び去ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ