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258.異次ナビ16

 志武12兄弟姉妹は、モンスターワールドを去る事になった。

 バラッド&ブレッド親子の事情を知ったメローナは、ブレッドのために彼の体に合った義手義足を用意する事を約束したのだ。

 バラッドはメローナに謝罪し、ナプルは解放された。

 いろいろあったが、バラッド&ブレッド親子とメローナ&ナプル姉弟の間には友情、信頼関係のようなものが芽生えつつあった。

「これも皆さんのおかげです」

 車に乗り込んだ志武兄弟達にメローナが礼を述べた。

「俺たちは、行き当たりばったりに必死にやってきただけだ。だが……、それがあなたたちの役に立ったのであればそれは嬉しく思う」

 ツヨシ(大2)の言葉は兄弟全員の気持であった。

「私の魔力でこの世界からの出口を開こう。お前たちの住む世界に戻れるかどうかは分からないが、少なくともこのモンスターワールドからは出られるだろう」

「ありがとうバラッド。でも、きっと私たち帰れると思うわ」

 異次ナビの画面をアオイ(大1)は指差した。

 そこには今まで1度も表示されなかった「自宅へ帰る」のスイッチがあったのだ。

「私たち、今回のメローナやブレッドたちと出会うために異次ナビに導かれてきたのかもね」

「やるべき事が終わったから、異次ナビが俺たちを元の世界に帰してくれるというわけか」

 アカネ(高2)とハヤト(高1)の言葉にもほっとした様子が感じられた。

「みんな元気でね」

「良かったら、僕らの世界にも遊びに来てくれ――と、言いたいところだが、実際来られたら大騒ぎになっちゃうかな」

 キイロ(中2)に続いてコウジ(中1)が言ったがその通りだろう。

「残念だけど、これでずっとお別れかも」

 ミドリ(小5)も名残惜しそうだ。

「でも、なんかの時に出会えるかもな。その時は今回みたいな危ない目にあうのはゴメンだぜ」

「ヒロ兄、そうしたら、またあたしがミサイルぶっぱなすから」

「モモちゃん、すっかりミサイル係が板についたね」

「今度はあたしも、みさいるうちたーい」

「僕も僕もーー」

 こわがって兄姉たちにしがみつく事の多かったチャコ(年中)、ダイゴ(年少)も、家に帰れるとあってうれしそうだった。

「じゃあ、みんな、行くぞ」

 ツヨシがエンジンをかけた。

 志武家の車は静かに垂直上昇し、バラッドが魔力で宙空に開いた穴に向かって飛んだ。


「志武先生、これって、先生の創作ですよね?」

 今回の異次ナビによる冒険を描いたツヨシのマンガを見て編集者が言った。

「創作も何も……、事実ですよ」

 ツヨシは静かに返したが、自分でもあんな冒険をした事が信じられない。

 他人が信じないのは無理もないだろうとは思っていた。

「だいたい、この異次ナビってそもそも何だったんですか?」

 よく分かりもせずレポートマンガを引き受けてしまったツヨシが、今更ながら尋ねた。

「すみません、私もよく知らなくて……、なんか、いろいろ解決しなければならない点が多いとかで、結局商品化にはまだ時間がかかるらしいんですが」

 そんな訳の分からない物のレポート頼まないでよとツッコミを入れたいツヨシであったが、

「まあでも志武先生、このマンガ、これはこれでおもしろいので、今度の別冊で使わせてください」

と、新しい作品のネタになったので、まあいいかと思うのであった。

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