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254.異次ナビ12

 モモコ(小2)のミサイル発射とツヨシ(大2)の操縦テクニックで何とか空飛ぶ双頭の怪物達を切り抜け、車は西へ飛んだ。

「だいぶ近づいてきました。あ、あの山の頂上です」

 眼下に噴煙を上げている火山が見えた。

「あの、火口の中なの?」

「ええ、アオイさん、間違いありません」

「だけど、この車、火山の中、大丈夫なのかしら? 溶けちゃったりしない?」

 キイロ(中2)が口にしたのは兄弟全員の不安でもあった。

「ねー、これ、何て書いてあるの?」

 ミドリ(小5)の膝の上のダイゴ(年少)が、目の前のシートの背のボタンを指差した。

 例によって、さっきまでこんなところにボタンは無かったはずだが?

「これは…、『マグマ仕様』?」

「ねえね、『マグマしよう』ってマグマでも大丈夫って事か?」

 ヒロシ(小4)がミドリにたずねる。

「なんか知らんが、必要な時に必要なボタンが車内に出現する仕組みになっているみたいだな。ダイゴ、そいつを押せ!」

「うん!!」

 ダイゴはツヨシに言われ、迷う事無くボタンを押した。

 突然、車のボディ全体がタイルのような物で包まれた。

 ウィンドウやフロントガラスも包まれ、車内は真っ暗に。

 異次ナビの画面に前方の風景が映し出された。

「この画面を見て操縦しろという事か」

 ツヨシはハンドルを操作して、車を火口に向かわせた。

「にーに、突っ込む気?」

「なあに、大丈夫だろ、多分」

 モモコが焦った声を出したが、コウジ(中1)の言う通り、おそらくマグマ仕様になった今の状態なら火山に飛び込んでも平気なのだろう。

 車を包んだのは、おそらくマグマの熱にも耐えうる、特殊な耐熱タイルに違いない。

 車は火口からマグマに突っ込んだ。

 激しい揺れが車を襲う。

 マグマは激しい濁流のようだった。

 マグマ仕様になった志武家の車。

 耐熱仕様ではあっても、揺れをどうにかする機能は無かったらしい。

「ゆ、ゆれるううううう」

「舌噛みそう!」

「喋るんじゃない! 痛テ!」

 ヒロシとモモコに喋らないよう静止していたツヨシの方が舌を噛んでしまったようだ。

「メ、メローナ、どっちに行けばいいの?」

「はいアオイさん、このまま下にあと二百メートル潜ったら、進路を水平に戻してください」

「にーに、聞こえた?」

「……」

 舌を噛んでしまったツヨシは、大きくうなずく事で応えた。

「といっても、どれくらいで二百メートルなのか、私たちには見当もつかないわ」

「そこはご心配なく。私がお教えします、アカネさん。あと、五秒……、三、ニ、一、今です、ツヨシさん!!」

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