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253.異次ナビ11

 ツヨシ(大2)がアクセルを踏むと、車の後ろの排気筒からジェット噴射がなされ、車は急角度で上昇した。

「それにしてもすごいわね、滑走無しでいきなり飛べるなんて」

「そうよねアカネ。このシステムが実用化されたら大きな敷地が無くても飛行場を作る事ができるわ」

 車はどんどん上昇した。

 眼下に先程メローナを襲っていた植物群が見えた。

「さすがにここまでは届かないようだな」

「良かったね、メローナ」

「ありがとう、ヒロシさん、モモコさん」

「おいおいみんな、安心してはいられなそうだぜ」

 ハヤト(高1)の言葉通りだった。

 進路前方の空間に複数の飛行物が確認できたのだ。

 最初は小さな黒いシルエットだが、だんだん大きくなってきた。

 コウモリのようは羽を生やし、体はトカゲのよう。

 そして、竜を思わせる長い二本の首をその胴体から伸ばしていた。

「やだ、空飛ぶ怪物よ!」

 ミドリ(小5)が言えば、

「モンスターワールドというくらいだからな……」

 コウジ(中1)もつぶやく。

「メローナ、方角はこっちで合っているな?」

「はい、ツヨシさん」

「みんな、シートベルトしっかり締めて、何かに捕まれ!」

 ツヨシは航空機の操縦免許を持ってはいないが、そこは勘と持ち前の運動神経を駆使した。

 車に群がってくる空飛ぶ双頭の怪物達を縦横無尽にかわしながら車を飛ばす。

 そう、文字通り“飛ばす”。

 怪物の首の一つが車のボディに当たった。

「きゃあああああっ!」

「うわああああ!!」

 激しく揺れる車内。

「ミサイル射てえーー!」

「了解!!」

 いつの間にかミサイル係になったモモコ(小2)が、ツヨシの指示でミサイル発射ボタンを押す。

 狙いをわざわざつけなくとも、射てば標的に向かって飛んでいくので、操作の楽なミサイルだった。

 だが、一回ミサイルを射つと、次のミサイルが発射されるまで五秒くらいかかった。

 ボタンを高速連打したからといって、ミサイルが続々連射されるわけではない。

 怪物の数はおびただしい。

 撃ち落としてもきりがない。

 撃ち落とし切れず襲いくる怪物たちは、ツヨシの操縦テクニックで切り抜けなければならなかった。

 右に左に上に下にハンドルを操作する。

 怪物たちはそれぞれ勝手に首を伸ばして車を追いかけるので、お互いの動きなど気にしている様子もなかった。

 中には首と首とが固結びのように絡まり、お互い身動きが取れなくなって落下してしまう怪物たちもいた。

「うまいぞ!」

「さすが、にーに!」

 ハヤトとアカネ(高2)が感心する。

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