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229.志武家の一大事4

「じゃあ、これで消しゴムかけてねーー」

「はい、くしゃってならないように、やさしくこするのよ」

 アオイとアカネは、それぞれ膝の上のチャコとダイゴに消しゴムを持たせてやった。

 チャコとダイゴは、ゆっくりゆっくり、丁寧に丁寧に、慎重に消しゴムをかけた。

「そうそう、うまい、うまい」

「じょうず、じょうず」

 弟妹をほめるアオイとアカネ。

 一瞬だが、この四人の周辺にだけ、なんとなくほんわかした空気が漂った。

 直ぐ隣では、必死の顔でハヤト、キイロ、コウジ、ミドリが原稿を進めており、全く空気が違うのだが。


 ちょっとではあるが原稿を手伝って満足したチャコとダイゴは、素直にヒロシたちと風呂に入った。

 そのまま寝かしつけるまで自動的にヒロシの役割になった感じだ。


 十時を回った。

 何とか原稿は終わりそうになってきた。

「ミドリとコウジとキイロはもう寝て。後は三人で大丈夫だと思うから」

 小中学生の弟妹にアオイが声をかけた。

「僕はもう少し大丈夫だよ」

「あたしも」

 コウジとキイロはそう言ったが、小学生のミドリは少々眠そうだった。

 あまり無理はさせられない。

「気持ちは嬉しいけど、大丈夫だから。明日も学校あるんだし、お風呂入ってもう寝ちゃって」

「じゃ、アオ姉の言う通りにしよっ」

 キイロの言葉で、コウジ、ミドリも戦線離脱した。


 アオイ、アカネ、ハヤトの三人になった。

「二人ともありがとう。おかげで明日の朝には原稿、担当の人に渡せるわ」

「志武りんぐの原稿は俺たち全員の原稿でもあるわけだからな。当然の事さ」

「ハヤトはいつも部活の助っ人してるもんね。今度は生徒会の手伝いにも来てよ」

「生徒会で俺にできる仕事あるかなあ? まあ、部活の助っ人が入ってない時があったら……」

「そう言えば、二人とも今日は宿題無いの?」

「……」

「……」

「え、まさか?」

「まあ大丈夫だよアオ姉、明日休み時間にやるから」

「俺は……、まあ、適当にどうにかするから」

「ごめんねーー」

「私たちの事より、アオ姉だって、大学のレポートとか締め切り近いんじゃなかったっけ?」

「それは……、まあ、適当にどうにかするから」

「なんだ、俺と同じかよ」

「まーーね……。――と、これでどうにか終わったかな」

「あたしも終わり」

「俺も終わった」

「やったね。みんなのおかげで日付が変わる前に仕上げる事ができたわ」

「アオ姉、まさか、これから大学のレポートするとかじゃないわよね?」

「うん、まあ……、ちょっとそうかも」

「んじゃ、私も付き合う。どうせ宿題やんなきゃなんないし」

「アオ姉、アカ姉がやるんじゃ、俺もやるとするか」

 日付が変わる頃――。

 アオイ、アカネ、ハヤトの三人は、今度は学校の宿題に必死に取り組み始めたのであった。

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