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228.志武家の一大事3

 兄弟全員――といっても、ツヨシは寝ているが――が揃い、原稿作画スピードが一気にアップした。

 アオイとアカネが猛スピードで背景を鉛筆描きし、それをハヤトとキイロがペンで仕上げていく。

 最後にコウジやヒロシでベタを塗ったりスクリーントーンを貼ったりする。

「良かった。みんなが帰ってきてから、ぐんとペースがアップしたわ」

 ちょっと前まで必死の形相だったアオイの表情がだいぶ柔らかくなってきた。

「みんな、交代でご飯にしようよ。もう、おにぎりにしちゃったから」

 ミドリがみんなに声をかけてきた。

「サンキュー。じゃあ、タダシとモモコから食べて」

 アオイの指示で、年下の者から順に食事にする事に。

 ヒロシの隣にミドリが座った。

「ヒロシも食べて。私がやるから」

「うん、ねえね、頼む」

「そんで食べたらさ、モモコ、タダシ、チャコ、ダイゴとお風呂入って寝かして」

「今度、俺がそっちか。分かったよ、りょーかい」

 既におにぎりを頬張り始めているモモコ、タダシのいるダイニングにヒロシも向かった。

 食べ終わったチャコとダイゴは隣の部屋で積み木で遊んでいる。

「じゃあ、ご飯食べたら、みんなで風呂な」

 ヒロシもおにぎりをぱくつく。

「えーー、あたしも、げんこーお手伝いしたいーー」

「僕もー」

 例によってチャコの言葉の後にダイゴが続ける。

 幼稚園児とはいえ、チャコもダイゴも志武兄弟の一員。

 確かに「志武りんぐ」はツヨシのマンガ家としてのペンネームではある。

 しかし、実質は志武十二兄弟姉妹全員でマンガ家「志武りんぐ」なのである。

 だから、チャコだってダイゴだって「志武りんぐ」なのだ。

「なあ、チャコとダイゴが原稿やりたいって言うんだけど、消しゴムまだのやつとかないかな……?」

 おにぎりを二つ食べたヒロシは、三つ目を食べる前に、仕事場の和室に戻った。

 顔を見合わせるアオイとアカネ。

「分かった。じゃあ、ちょうど2枚あるから、チャコとダイゴ、連れてきて」

 アオイの言葉をヒロシが伝えると、チャコとダイゴは大喜びで仕事場にやって来た。

「あたし、アオ姉のお膝でやるーー」

「じゃ、僕、アカ姉ーー」

 チャコとダイゴは、それぞれアオイとアカネの膝の上にやって来た。

 マンガの手伝いをしたいというのはもちろんチャコとダイゴの本心だが、上の者たちに甘えたいという気持ちもあるのである。

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