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221.プリンセスとナイト

 上の子が遊びに出かけるのに下の子がついていくのはよくあることだ。

 今日はタダシ(小1)が遊びに出かけるのにチャコ(年中)がついてきた。


 今日タダシが友達と遊ぶのは、カメンダーマスクごっこ。

 誰がカメンダーマスクになるかは公平にじゃんけんで。

 タダシが勝った。

「やったーー、オレ、カメンダーマスクだあーー」

 タダシは大喜び。

 友達の一人がタダシに言った。

「チャコちゃんはどうする?」

 集まった友達は男の子ばっかり。

 女の子はチャコ1人だ。

 年下の、しかも女の子に悪役をさせるのも、どんなものか。

「じゃあ、チャコちゃんはカメンダーレディでどう?」

 友達が気を利かせて言ってくれた。

 ところがチャコの希望は別のものだった。

「あのね、あたし、助けてもらうお姫様の役がいい」

 闘うヒロイン役は、いつも兄弟での「ひめっこズキュン」ごっこでタダシやダイゴ(年少)を悪役にしてさんざんやっているので、今日は毛色の違う役をやりたかったのだ。


 カメンダーマスクごっこが始まった。

「きゃーーっ! 助けてーー!!」

 チャコがすべり台の途中にうつ伏せになって叫ぶ。

 崖から落ちそうになっているという脳内設定だ。

「しっかり! 早くつかまるんだ」

 すべり台の上から手を差し伸べるタダシ。

「ありがとう」

 その手をチャコがつかみ、タダシはチャコを引っ張り上げた。

 すべり台を降りると、

「足をくじいて歩けないわ」

とチャコ。

「え、そうなの?」

 内心、「げげっ」と思ったタダシだが、こんな時テレビのヒーローは怪我をした女の子を置いていきはしない。

「じゃあ、オレにおぶさって」

 タダシが背を向けてしゃがむと、チャコはうれしそうに、ぴょんっとおぶさってきた。


 怪人役や戦闘員役の友達が迫り来る。

 チャコをおぶったまま、友達と戦い(ごっこ)を繰り広げるタダシ。

「な、なんか、オレ、ひめっこズキュンごっこの時といい、今といい、いつも大変な役やってないか!?」

とは思ったが、背中のチャコが嬉しそうなので、汗だくになって悪との戦い(ごっこ)を続けるタダシであった。

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