215.ま、待て!!
この時、家にいたのは、あとはコウジ(中1)だけだった。
キイロ(中2)のただならぬ絶叫を聞きつけ、コウジがバットを片手に飛んできた。
「アネキ、どうした!?」
コウジが部屋に入ると、キイロの目の前に、見たことの無い中学生ぐらいの男女2人が、無理やり着たようなぴちぴちの幼児服で立っている。
「な、なんだオマエたちは? 変質者か!」
キイロと同じ事を叫ぶコウジ。
「ち、違うよ、コウちゃん」
「チャコとダイゴよ!」
中学生の姿になった、ダイゴとチャコが弁解した。
「チャコとダイゴだって?」
チャコとダイゴは、キイロとコウジに簡単にいきさつを説明した。
「――と、いうわけで、『救われるボックス』の中にあったチョコというかキャンディーを食べたら、大きくなっちゃったの」
「コウジ、一体どうしてかな……?」
「アネキ、リスリーナの言っていた意味はこういうことだったんだよ」
コウジがキイロ、続いて、大きくなったチャコ、ダイゴを見て説明を始めた。
「リスリーナは、『困った時に箱を開けろ』と言った。そして、チャコとダイゴは実際困っていた。小さいからおもちゃ箱に手が届かないからだ。その、困ったことを解決するためのものが、『救われるボックス』の中に現れた。つまり、2人を大きくするための薬みたいなものだよ。それを食べたチャコとダイゴは、体が大きくなり、タンスの上の箱を取る事ができるようになった……。実際ダイゴ、手が届くだろ?」
コウジに言われ、ダイゴはタンスの上に手を伸ばした。
楽に手が届く。
「なるほど、そういう事なのね……」
キイロも納得した。
「それはそうと、2人とも、その服をどうにかした方がいい。その背丈でその服は不自然だ」
「そうよね」
コウジとキイロに言われ、チャコとダイゴは自分たちの服装を見た。
中学生の男女が、子供向け番組のキャラクターがプリントされた破れかけの服を無理無理着ている。
確かにちぐはぐでおかしな絵面だ。
「僕らの服を貸してやるから、着替えた方がいい」
コウジに言われ、チャコとダイゴはさっそく今身に着けているきつきつの服を脱ぎ始めた。
「ま、待て!!」
慌ててコウジが止めた。