213.食べちゃおか?
チャコ(年中)とダイゴ(年少)で積み木で遊んでいた。
「チャコちゃん、僕の怪獣の人形、どこにいったかな?」
「ダイゴ、こないだ出しっぱなしだったから、お姉ちゃんたちが片付けちゃったわよ」
「え、どこに?」
「あそこ」
チャコが指差したのは、タンスの上。
箱が置いてある。
その中に、怪獣の人形ほか、ダイゴやタダシ(小1)が使う男の子のおもちゃが入っているのだ。
「あそこじゃ僕には取れないなあ」
「そうだねえ」
「きっとお姉ちゃんに頼んでも取ってくれないだろうねえ」
「多分、
『ちゃんと片付けとおかないからよ。もう知らない!』
って怒られるのがオチでしょうね」
チャコが姉の口真似をする。
「困ったなあ」
「そうだねえ」
「そういえば、『困った時に、これを使え』ってリスリーナが言ってたよね」
ダイゴは、テーブルの上に置いてある弁当箱大のキラキラの箱に目を向けた。
リスリーナが残していった「救われるボックス」だ。
「でも、あれカラだったよね」
「うん、この中から、台か何か出てきたらいいのに」
言いながらダイゴはふたを開けた。
「あれ?」
「どうしたの?」
ダイゴの声を聞き、チャコも箱を覗き込んだ。
箱の中には、丸い粒が2つ。
一見、飴かチョコレートのようだ。
「これ、お菓子かな?」
ダイゴが1粒手に取って、まじまじと見た。
実際、甘い良い匂いがしてきた。
「お姉ちゃんたちが入れておいたのかも」
チャコも残りの1粒を取った。
とても美味しそうだ。
「いい匂いだねチャコちゃん」
「そうだねえ」
「これ食べちゃったらマズいかな?」
「マズくは無いんじゃない。甘いと思うよ」
「そうじゃなくて、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちに怒られないかな」
「そうだねえ……、ま、怒られたら謝ればいいんじゃない?」
「そうだよね」
「そうだよ、そうだよ」
「じゃ、食べちゃおか?」
「食べちゃお、食べちゃお」
「じゃ、1、2の3で、同時に食べるよ?」
「うん、1人だけ食べないっていうズルは無しね」
「もちろん。じゃ、チャコちゃん、いくよ」
2人は、「1、2の、3」と同時に掛け声で、それぞれ粒を口に入れた。
「あ……、あ、あ!?」
チャコもダイゴも、びっくり仰天した。
体が浮き上がったのである!?