210.救われるリス
兄弟姉妹たちの頭に直接語りかける形で、リスの話は続いた。
「頭に直接って事は、テレパシーってやつかい?」
『はい、おっしゃる通りです』
ツヨシ(大2)を向いてリスは答えた。
「あなたは何という名前なの?」
今度はアオイ(大1)がたずねた。
『私の名前は……、みなさんの言語では発音できません。そうですね、リスリーナとでもしておきましょう」
「いかにも女の子のリスという感じの名前ね」
なるほどという表情でアカネ(高2)。
『宇宙から……、惑星スクワレルからやってきました』
「スクワレルって、英語でリスって意味だよな?」
ハヤト(高1)が確認する。
『お気づきになりましたか。すみません、実は私の故郷の星の名前も、皆さんには発音できないので似た言葉で代用させていただいたのです。実際、皆様に“救われる”ことになったので、その意味も込めまして……』
「スクワレル星から来た、リスリーナちゃんか」
今度はキイロ(中2)を向いてリスリーナは続けた。
『はい、おっしゃる通りです。ところで、皆さんのお名前も教えていただけませんか? いえ、おっしゃらなくて結構です。頭の中に思い浮かべていただければ読み取れますので……』
リスリーナは、少しの間、精神を集中するかのように目を閉じた。
『分かりました。男性が、ツヨシさん、ハヤトさん、コウジさん、ヒロシさん、タダシさん、ダイゴさん。女性が、アオイさん、アカネさん、キイロさん、ミドリさん、モモコさん、チャコさんですね。よろしくお願い致します』
「すごいな、本当にテレパシーが伝わるんだ」
コウジ(中1)が感心した。