207.アイスの賞味期限
「暑いなあ、何か冷たい物無いかな?」
夏の外遊びから帰ってきたタダシ(小1)とダイゴ(年少)は冷蔵庫を開けた。
冷凍庫の奥にアイスが2個入っていた。
「あ、ダイゴ。ちょうどアイスが2個あるぞ」
「あんちゃん、食べちゃおうよ」
タダシとダイゴは手を突っ込んでアイスを取り出すと、包みを破って食べ始めた。
「あ、2人ともそれ食べちゃったの?」
ミドリ(小5)がやって来て、タダシとダイゴがアイスを食べているのに気付いた。
「ごめん、ねえね。あんまり暑かったもんで……。ちょうど2個あったし」
タダシが言い訳する。
「それはいいんだけど……。それ、奥の方にあったやつでしょう? だいぶ前に買ったやつだったんだけど、大丈夫かな?」
「しょうみきげんってやつ?」
たどたどしい言い方で難しい言葉をダイゴが使う。
「ふー、暑い暑い、アイス、まだあったっけ?」
今度はそこにコウジ(中1)がやって来て、冷凍庫を開けた。
「あ、無い! もう誰かに食べられちゃったな」
残念そうなコウジ。
「コウちゃんもあの古いアイスねらってたの? 今、タダシとダイゴが食べているのがそうだけど……。いつ買ったか分からないくらい古いやつなんだけど、大丈夫かな?」
「なんだ、残念。先越されたか」
「へっへー」
「ごめんね、コウちゃん、ねえね」
「食べるのはいいんだけど、タダシもダイゴもおなかこわさないかな?」
「ミドリ、それは大丈夫だろ」
「どうして?」
「冷凍保存されていて、細菌が増える心配も無い事から、アイスには賞味期限を表示しなくてもいいと法律で決まっているんだよ。ちなみにこれは日本だけじゃなく、いくつかの外国でもそうらしいぞ」
「へえーー、そうだったんだーー」
「ま、でも、買って何年も経ったアイスは味も落ちて食べられたもんじゃないらしいけどな」
「ウチじゃあ、何年もアイスが冷凍庫でそのまんまなんて事はまず無いから大丈夫だね。たいていアイス直ぐ食べちゃうし。今回みたいな事の方が珍しい」
「ちなみに今タダシとダイゴが食べているアイスは何で残ってたんだ」
「たまたま冷凍食品のかげになってたんだよね」
「どれぐらい前に買ったやつ……?」
「多分、1年は経ってないと思うけど……」
「じゃ、余裕で大丈夫だろ。冷食の期限だって、1年から1年半ぐらいあるらしいから」
「え、アイスには無いのに、冷食には期限があるの?」
「『冷凍焼け』といって、冷食に使われている油が酸化していくんだよ。だから、冷食には期限があるらしいんだな」
「へえーー、勉強になった」