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205.悪役再登場

 ミドリ(小5)とヒロシ(小4)は、夏休みの小学校に水やり当番でやって来た。

 夏の間の学級園に、クラスの子どもたちが交代で水をやるのである。

 ヒロシのクラスの当番は、他にメグとヨーコの2人であった(第74話参)。

「ふー、毎日暑いな」

「これじゃ、花壇のお花たちも喉が乾くでしょうね」

「たくさんお水上げないと」

 暑い陽射しの下、ヒロシ、メグ、ヨーコの3人は、何回もジョウロに水をくんで花壇にやった。

「これくらいでいいかな」

「ヒロシのところも終わったの?」

 3人が水をやり終える頃、声をかけてきた者がいた。

「あ、志武君のお姉さん?」

 ヒロシと一緒に来たミドリだった。

 別の場所にある5年生の花壇に水やりに行っていたのだ。

「こんにちは」

「こんにちは」

 互いに挨拶を交わす、ミドリ、メグ、ヨーコ。

「ねえねのクラスは、ねえね1人なの?」

「なんか、今日の当番の人、急に出かける予定が入ったとかで来られなくなったんだって」

「お姉さん、1人で大変だったでしょう? 言ってくれればお手伝いしたのに」

 メグがミドリを気遣った。

「ありがとう。でも、終わったから、もう大丈夫よ」

 ジョウロを片付け、4人は一緒に校門を出た。

 公園の前を通りがかった時、メグが言った。

「あ、公園のバスケットゴール空いてるね」

「珍しい。いつも誰か使っているのに」

 ヨーコが応じる。

「こう暑くっちゃ、外でバスケやろうなんて物好きいないのかも」

「ね、ちょっとやってかない?」

「ちょうど4人いるし、2対2で」

「志武君とお姉さんも。ね?」

 メグとヨーコは、やる気マンマンだ。

 ミドリとヒロシは顔を見合わせた。

「いいけど……、でもボールは?」

「へへー、なぜかアタシ、バスケのボール持ってまーす」

 ミドリに言われ、メグは持っていたバッグからバスケットボールを取り出した。

「メグちゃん、いつも持ち歩いているの?」

「いつどこでバスケをやる状況が生じても対応できるように、いつもボールを持ち歩くのがバスケガールですよ、ミドリさん」

 それってどんな状況だよとヒロシは思ったが、ツッコまずにおいた。

 ミドリとヨーコ、ヒロシとメグでそれぞれチームを組み、2対2で試合を始めた。

 ミドリもメグもヨーコも、小学校でミニバスケットボールのチームに入っている。

 ヒロシはバスケットボールをやった事はほとんどないが、もともと運動神経はいいので、3人の動きにも対応して試合をこなすことができていた。

「志武君、うまいね」

「サッカーやめて、ミニバスに来ない?」

 メグとヨーコがヒロシの動きに感心した。

――と、ミドリが転んだ。

「あいた」

「ミドリさん、大丈夫ですか?」

 メグとヨーコが駆け寄る。

「平気。ちょっと転んだだけだから」

「ねえね、大丈夫か?」

「うん……、あつっ、ちょっと手首を変な風にひねったみたい」

 そこに下卑た男子の声がした。

「おいおい、下級生ども」

 悪人面した6年生男子が3人立っていた。

 ガンタ、ギンゾウ、ゴンスケ。

 以前、ミドリとダイゴ(年少)とミカエルが歩いている時、からんできた3人組である(第110話)。

「あ、あなたたちは……」

 ミドリは、この3人の6年生――ガンタ、ギンゾウ、ゴンスケ――を覚えていた。

「一回限りの登場のはずが、悪役としてまた登場の機会を与えられたのね。しかも、今度は名前付きで」

 ミドリの言葉に3人は悪態をつく。

「へ、うるせーよ」

「おい、ここはいつも俺たちの使う場所って決まってんだよ」

「場所を明け渡してもらおうか」

 メグとヨーコは当然抗議した。

「そんな……、私たちが先に使ってたんですよ」

「いくら6年生だからって、横暴です」

 ガンタがニヤニヤしながら言った。

「じゃあ、勝負するか? 3対3で。そんで、勝った方がここを使うってのはどうだ?」

 メグは、そんな挑発に乗らない。

「そんなのズルいですよ。そっちは、男子でしかも6年生じゃないですか。私たちは女子ばかりでしかも4,5年生なんだから、勝てっこありません」

「ふーん……、じゃあ、こういうのはどうだ?」

 ガンタは別の提案をしてきた。

「バスケをやる者同士なら、やはりバスケで勝負をつけようじゃないか。試合が駄目だっていうのなら、シュート勝負はどうだ? 3人ずつ3回、合計9回シュートして、多く入った方の勝ち。負けた方は、いさぎよく引き下がるってのは?」

 メグとヨーコは顔を見合わせた。

「いいですよ、それなら……」

 メグが応じる返事をした。

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