1.背中流してあげる
志武家の兄弟姉妹は男6女6の12人だ。
上から順に、
ツヨシ(男19)大学2年生、
アオイ(女18)大学1年生、
アカネ(女16)高校2年生、
ハヤト(男15)高校1年生、
キイロ(女13)中学2年生、
コウジ(男12)中学1年生、
ミドリ(女10)小学5年生、
ヒロシ(男9)小学4年生、
モモコ(女7)小学2年生、
タダシ(男6)小学1年生、
チャコ(女4)幼稚園年中、
ダイゴ(男3)幼稚園年少。
入浴は大体いつも3人1組。
今日の1組目は、ツヨシ(大2)、ミドリ(小5)、モモコ(小2)。
「お兄ちゃん、背中流してあげるね」
「ああ、ありがとう。お、ミドリは力があるなーー」
「お兄ちゃん、私もやってあげるーー」
「分かった。じゃあ、モモコも頼む」
「ええー、私がやってたのにーー」
「じゃあ、2人で左右半分ずつ頼むよ」
「はーい。うんしょ、うんしょ」
「お、モモコも力があるなーー」
「お兄ちゃん、私はーー」
「やっぱり、お姉ちゃんだけあって、ミドリの方が力があるかな」
「えい、えい、えい。ねえ、お兄ちゃん、どう?」
「あ、モモコもやっぱりいいかも」
「ふん、ふん、ふん、私は?」
「ミドリもすごい」
「は、は、は、ねーねー、私は」
「す、すごく強い」
「とう、とう、とう」
「も、も、ものすごく強い」
「たあ、たあ、たあ」
「い、いててて」
「とおーりゃーー」
「ぐわああ!ーー」
「で、そんな背中になっちゃったわけ?」
リビングでうつぶせになり、真っ赤にすりむけた背中をアオイ(大1)に介抱してもらっているツヨシであった。