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196.お姫様抱っこの橋

「お姫様抱っこの橋」

 この表示を見て、

「何て書いてあるの?」

 チャコ(年中)がツヨシ(大2)に聞いてきた。

「おひめさまだっこのはし、だな」

「おひめさまだっこ?」

「この橋を、お姫様抱っこして渡りきると、2人には幸せな未来が訪れるそうだ」

「にーに、にーに、やるやる、抱っこ抱っこーー」

「分かった、分かった」

 ツヨシはチャコをひょいとお姫様抱っこすると、橋を渡り始めた。

 橋といっても、左右に地面から直接生えた欄干があるだけで、橋自体に地面との高低差は無い。

 これなら橋から落ちて怪我するなどという心配も無用だ。

 ものの数秒で橋を渡り終えた。

「やったーー。にーに、これで『しあわせなみらいがおとずれる』ね?」

「ははは、そうだな」


 しばらくして、ここにモモコ(小2)とハヤト(高1)のペアもやって来た。

 やはり、ハヤトがモモコをひょいとお姫様抱っこして渡り終えた。


 ミドリ(小5)とコウジ(中1)もやって来た。

 ちょっと苦戦したが、コウジも何とかミドリをお姫様抱っこして、橋を渡った。


 キイロ(中2)とヒロシ(小4)がやって来た。

「……」

 表示を読んだヒロシ、しばし沈黙。

「ヒロシ、何だったら、私がヒロシのこと抱っこしてあげようか?」

「な、何言ってんだよ。男が女にお日様抱っこなんかしてもらえるか」

「お日様じゃなくて、お姫様」

「そう、とにかく、それ。俺がアネキを抱っこして、渡る!」

「えーー、できるのーー?」

「できるよ!」

「じゃあ、おんぶでいいけど?」

「おんぶじゃダメだろ。ちゃんとやる! じゃ、ほら、アネキ……」

 ヒロシは中腰になり、右手をキイロの背中に、左手をキイロの両膝の裏に回した。

「え……、ちょっと、こわいよ」

「大丈夫だよ……、ふぬ!!」

 ヒロシは渾身の力を込めてキイロを抱き上げた。

「きゃあ」

 キイロが、ヒロシの首にしがみ付く。

 ヒロシは――、キイロをお姫様抱っこできていた!

 両足はがくがく震えているが。

「やだ……、平気なの?」

「へ……、平気……」

 ヒロシは、そろり、そろりと、橋を渡り始めた。

 キイロは途中で落とされやしないかと冷や冷やしていたが、ヒロシは何とか最後までキイロを抱いて橋を渡り切った。

 キイロを降ろすヒロシ。

「はあはあ……。どーだ、できただろ?」

「うん、ありがとーー」

 ヒロシの頑張りが嬉しいキイロは、ヒロシの両脇の下に腕を入れてヒロシを抱きかかえると、ぐるんぐるん回し始めた。

「や、アネキ、やめてよ。男が抱っこされてたらおかしいだろ」

「頑張ってくれて嬉しかったから、ついね」

 キイロはヒロシを降ろした。


 今度は、アカネ(高2)とタダシ(小1)のペアがやって来た……。

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