18.見せて見せて
スーパー銭湯の休憩室で志武12兄弟姉妹はジュースを飲んでいた。
アンナがやって来た。
「ダイゴ君。アンナ、今度ママと入るんだけど、ダイゴ君も来ない?」
「えー、でも……」
「アンナだって男湯入ったんだから、ダイゴ君も女湯入んなよ」
「うん……」
「ダイゴ、私たちもいっしょだから大丈夫だよ」
キイロ(中2)が言った。
ダイゴ(年少)は姉たちやアンナ、アンナのママらと女湯に入った。
入って慣れてしまえば、知らない女の人がいっぱいいてもダイゴも平気だった。
「へー、モモコ、弟と来てるの? どこどこ」
声がした。
見ると、姉のモモコ(小2)が、スーパー銭湯で偶然会った友だちのサキを連れてダイゴのところに来たところだった。
「ほら、この子。ダイゴっていうんだ」
「へえーー。可愛いーー。ダイゴ君、こんにちは」
「こ、こんにちは」
サキに言われて、ダイゴは、恥ずかしがりながらも挨拶を返した。
「ミドリの弟って、どこ」
「ここ、ここ」
今度はミドリ(小5)が、やはりクラスメートのジュンを連れてきた。
「あ、ちょー可愛いいじゃん。お姉ちゃんジュンっていうの。ダイゴ君いくつ?」
「み、みっつ」
ダイゴは、指を3本出した。
「え、ダイゴが来てるの?」
「どらどら?」
チャコ(年中)まで、同じ幼稚園のニーナとマイを連れてきた。
ニーナとマイとは、幼稚園でダイゴも顔なじみだ。
「あ、ニーナちゃんとマイちゃん」
知っている女の子と女湯で会ってしまうのは、ダイゴもちょっと恥ずかしかった。
女の子たちが集まっているのに気付いて、アオイ(大2)、アカネ(高2)、キイロ(中2)もやってきた。
「どうしたの?」
「あ、お姉ちゃん。友だちも来ていて」
「みんなが、ダイゴのこと見たいっていうから」
たくさんのお姉ちゃんたちに囲まれて、ダイゴはすっかり圧倒されてしまった。
「もてもてね、ダイゴ」
アカネが言った。
「ぼ、僕、もう出たい」
みんなの視線が集中して、ダイゴもすっかり困ってしまった。
「あたしが連れてくね。じゃ、ダイゴ、みんなにバイバイして」
アオイがダイゴを連れて、脱衣所に向かった。