179.ライバル
「方法は……、同封したチラシのイベントで私たちと共演してください。そうすればお分かりになります。ぜひ、お願いします」
フューチャー3からの挑戦状メール、最後は上のように結ばれていた。
「これが、あなた方の言う“リベンジ”だったんですね」
フューチャー3のパル(17歳)と握手しながら、志武パンク(ハヤト)が言った。
「勝手なことをしてごめんなさい。でも、私たちにだって同じことができるんだって、どうしても示したかったの」
パルが答えた。
「パル……、こう見えて負けずぎらいだからな」
「あら……、ピノだって……、そうでしょ?」
ピノとポロも言う。
「でもすごいね。2曲目は初公開の新曲だったのに」
素直にらんぷ(キイロ)は驚いた。
「それは、あなた方も同じでしょ。おんぷちゃんにじゃんぷちゃんがそうだったもの」
パルが返す。
「それは、モモ……、いや、おんぷとじゃんぷが特別なのさ。俺たち3人は、そこまで無理だ」
パンクが言った。
「え、そうなのか?」
「意外……」
ピノとポロが驚く。
「うん、新曲の振り付けだって何度も練習して必死に覚えたんだよ」
「そ、特にヒロ……、キックは覚えが悪いんだもんね」
「ちぇ、アネキだってどっこいだったろ」
らんぷとキック(ヒロシ)のやり取りを見てパルの表情が緩んだ。
「なんだ……、なんだかちょっとほっとしちゃった」
「「ねーねー、パルちゃん、ピノちゃん、ポロちゃん」」
おんぷ(モモコ)とじゃんぷ(チャコ)がフューチャー3に話しかけた。
「今日は楽しかったね」
「またいっしょに歌ったり踊ったりしてね」
パル、ピノ、ポロは、しゃがんで おんぷ と じゃんぷ をぎゅっと抱きしめた。
「こちらこそ。また一緒にやろうね」
帰りの車中。
「ふーん、そういうことだったのか」
運転しながら話を聞いたツヨシ(大1)が言った。
「さすがフューチャー3、プロ根性見せてくれたね」
「まあ、俺たちはシロウトの延長みたいなもんだからね」
と、コウジ(中1)とハヤト(高1)。
「今日は楽しかったねモモちゃん」
「うん、またやりたいねチャコ」
モモコとチャコはすっかりご機嫌。
フューチャー3やリブリンズのステージの後、イベント会場で走り回って遊んでいたタダシ(小1)とダイゴ(年少)は疲れて眠ってしまっている。
「ライバルがいるって、いいものかもねアオ姉」
「そうだね」
(ライバルか……)
アカネ(高2)とアオイ(大1)の会話を聞いていて、また新たなアイディアを思いついた、シブリンズのプロデューサー、コウジ(中1)であった。