176.ゲストステージ
フューチャー3からの挑戦状を受け取ってから数週間後。
シブリンズは、テレビ局が主催するウォーターフロントの臨海公園でのイベントへ招待された。
そこでのフューチャー3のステージに、ゲストとして出演するのだ。
シブリンズの5人、ハヤト(高1)、キイロ(中2)、ヒロシ(小4)、モモコ(小2)、チャコ(年中)は舞台袖で出番を待っていた。
今、フューチャー3がステージで歌っている。
モモコとチャコはステージ上のフューチャー3を見ながら、舞台袖で歌に合わせて小さく体を動かしていた。
一緒に踊りたくてたまらないという顔をして。
客席では、ツヨシ(大2)、アオイ(大1)、アカネ(高2)、コウジ(中1)、ミドリ(小5)、タダシ(小1)、ダイゴ(年少)の7人が、兄弟たちの登場を待っていた。
曲が終わり、フューチャー3の3人、パル(17歳)、ピノ(16歳)、ポロ(15歳)が舞台袖にさがってきた。
パルが、モモコとチャコに声をかけた。
「おんぷちゃん、じゃんぷちゃん」
おんぷはモモコ、じゃんぷはチャコのことだ。
「「なあに?」」
「今、舞台袖で私たちと一緒に踊ってたよね? こないだみたいに……」
こないだというのは、ショッピングモールでの一件のことだ。
「あ、うん……」
「ごめんなさい」
「ちがう、ちがうの。怒ってるんじゃないのよ」
「だって、パルちゃんたち、シブリンズに りべんじ するんでしょ?」
「りべんじって、しかえしのことだって、お兄ちゃんお姉ちゃんたち言ってたもん」
「あ……、でも、それは、けんかとか、そういうんじゃないから」
パルは、しょんぼりしている表情のモモコとチャコに――今はマスクをしてシブリンズの衣装を着けているから おんぷ と じゃんぷ だが――笑顔で言った。
「もし、良かったら、次の曲いっしょに踊らない?」
「え?」
「いいの?」
再びフューチャー3がステージに立った。
客席から歓声が上がる。
「今日は、みなさんに可愛いゲストを紹介します!」
マイクを持ったパルが客席に向かって呼びかけた。
「ゲストで来てくれた、ネットアイドル『シブリンズ』の、志武おんぷちゃん と じゃんぷちゃんです!」