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158.かっぷるん
マンガ原稿執筆中の夜。
「小腹が空いたな。何かなかったか?」
ツヨシが、アシスタントとして原稿を手伝ってくれている弟妹たちに聞いた。
今日の手伝いは、アオイ(大1)、アカネ(高2)、ハヤト(高1)、キイロ(中2)の5人。
「『かっぷるん』でいい?」
キイロ(中2)が言った。
冷蔵庫の中身や食料の買い置きなど、志武家のストックのほとんどをキイロは把握しているのだ。
「俺は、味噌」
「私、シーフード」
「私、豚骨」
「俺、激辛」
兄姉たちが順に好みの味を言う。
「はいはーい。ちょっと待っててね」
数分後、キイロがお盆に5つの『かっぷるん』を載せて持ってきた。
ちなみに『かっぷるん』とはカップ麺のこと。
「かる」や「わたあめん」同様、下の弟妹たちがカップ麺を「かっぷるん」と呼んで以来、みんなそう呼ぶようになったのだ。