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155.開かないで、恥ずかしい
「ここにいたのか」
キイロ(中2)を見つけてツヨシ(大2)が言った。
「あん、ツヨシ兄さんダメ」
キイロが抵抗する。
「ダメじゃない。もう妹たちのは全部見た。あとはキイロのだけだぞ」
「だって、恥ずかしいよ」
「何言ってるんだ。ちゃんと兄さんに見せなきゃダメだろ。ミドリもモモコもちゃんと見せたぞ」
「だって、ミドリやモモコは……。私は恥ずかしい」
「ほら、早く」
ツヨシは、抵抗するキイロのものを開こうとした。
「ダメえーー」
「力を抜け、よく見えないだろ」
「だって……」
「ほら」
「分かった」
キイロは抵抗をやめ、ツヨシが開くのに任せた。
「う~ん、前より変わってるな」
「じっと見ないで。恥ずかしい」
「次は国語をもうちょっと頑張らないとダメだな」
キイロの通知表を見終え、ツヨシは言った。