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150.クラゲじゃないよ
「この透明なのなあに?」
夕食を食べているとき、半透明な物を箸でつまんでタダシ(小1)がたずねた。
「それはキクラゲよ」
ミドリ(小5)が答える。
「クラゲ? クラゲって食べられるの?」
「食べられるクラゲもあるけど……、これはクラゲじゃないわ」
「だって、キクラゲでしょ?」
「名前の通り、木にできるクラゲ。本当はキノコの仲間なんだって」
「これ、キノコなんだ」
「確かに透明でクラゲっぽいから、本物のクラゲと思うかもしれないけど……、キノコなのよ」
「へえーー、初めて知った。ミドリお姉ちゃんよく知ってるね」
「実はミドリも、昔はキクラゲのこと、海のクラゲだと思ってたのよね」
「やん、アカネ姉さん、それは言わないで」