146.毎朝暑い夏
夏だ。
毎朝暑い。
目が覚めると、寝汗で布団がぐっしょりだったりする。
寝る前は、互いに離れ離れになってざこ寝するのだが、起きる時はなぜか抱き合っている者同士もいて、お互い暑さにうんうんうなりながら寝ていたりするのだ。
朝、アオイ(大1)が弟妹たちを起こして歩く。
「う~~、く、苦しい……、重い」
うめきながらハヤト(高1)が寝ている。
「そりゃそうよ、ほらコウジ、頭どけてあげて」
アオイが、ハヤトの腹を枕に寝ているコウジ(中1)を起こす。
「あ……、暑い……」
「お、お姉ちゃん……、暑いよ」
「この暑いのに、なんでキイロもミドリも抱き合って寝てるのよ。さあ、起きた、起きた!」
アオイは、暑さにうめきながら汗びっしょりになり密着して寝ている妹2人を引きはがした。
汗でパジャマが透けている。
「あれ、どうしたのダイゴ?」
この暑いのに、ダイゴ(年少)がタオルケットを引っかぶって頭半分だけ出している。
「暑いでしょ? 起きなさい」
「やだ!」
「起きないの?」
「起きない!」
「どうして?」
「……」
「ほーら、出て来い」
アオイは、ダイゴを無理やり抱き上げた。
タオルケットをめくると……、シーツがぐっしょり濡れている。
ただアオイには直ぐに事情が分かった。
これは寝汗だ。
「あのね、あのね、違うんだよ。僕してないよ」
ダイゴが必死に弁解する。
「大丈夫、ちゃんと分かってるって」
アオイは片目をつぶってみせた。
「取り合えずシャワー浴びよっか」
アオイはダイゴの汗びっしょりのパジャマを脱がせ、自分も着ている物を脱ぐと、浴室に向かった。