144.毎日暑い夏
夏だ。
毎日暑い。
幼児や子どもはあせもができる。
「あー、チャコもダイゴもあせもができちゃってるじゃない」
アオイ(大1)とアカネ(高2)が幼い弟妹たちの皮膚の異常に気付いた。
「あせもができたら、薬をぬる前に、まず毛穴のつまりを取り除くのよね」
「シャワーで丁寧に洗わないと」
2人の姉が、共同でチャコとダイゴをシャワーで洗ってやった。
「お姉ちゃん、かゆいよーー」
「私もー」
タダシ(小1)とモモコ(小2)がやってきた。
アオイとアカネが見てやると、こちらもまたあせもができている。
「ほら、2人とも脱いで。シャワーするから」
アオイとアカネで代わる代わる肌の表面を丁寧にシャワーをしてやり、水気を拭き取り、薬をぬってやった。
薬をぬられる時、「きゃはは」と笑ってじっとしていないので、「ほら、じっとして!」と姉2人がかりで押さえたりする。
「ふうー、やっと終わった」
「疲れたねー」
「ちょっと首の辺りがかゆい」
「あ、姉さん、なんか赤くなってるよ」
「え、そういうアカネもここ赤いよ。かゆくないの?」
「やだ、私たちもあせも?」
「兄さ~~ん」
アオイとアカネは、部屋でマンガ原稿執筆中のツヨシ(大2)のところに行った。
「どうした?」
「私たちあせもができちゃったみたい」
「さっき、下の子たちがあせもだったから、シャワーや薬やってあげたんだけど……」
「私たちには兄さんがやってーー」
妹2人で甘えた声を出した。
下の子たちの面倒ばかりみていると、自分たちも甘えたくなる。
時々こんなふうに、アオイとアカネはツヨシに甘えてくるのだが……。
ツヨシは妹2人の赤くなっている場所を見るなり言った。
「それは、虫さされだ」