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143.冷凍マンガ
荷物持ちの役で、ヒロシ(小4)はアオイ(大1)の運転する車で一緒に買い物に行った。
たくさんの買い物袋をうんとこしょと持ち、帰りの車に乗り込む。
帰りの車中で、ヒロシはマンガを読んでいた。
家に戻ってきて、買ってきた物を家の中に運び込む。
日用品、衣類、食品……。
いろいろ片付け終えて、ふと、ヒロシは気付いた。
自分の読みかけのマンガが無い事に。
「お姉ちゃん、僕のマンガ知らない?」
「マンガ? 見なかったわね」
「おかしいなあ?」
ヒロシは、車のシートの下やトランクやらいろいろ探し回った。
部屋の中、テーブルや椅子の下……、しかし、どこを探しても無い。
「変だなあ? どこいっちゃったのかなあ」
夕食の支度をしようと、アオイは冷蔵庫から冷凍食品を取り出した。
ビニール袋の中から、冷食と共に出てきたのは……、
「ヒロシーー、マンガあったよう!」
ヒロシのマンガ本は冷食のビニール袋に紛れ、カチコチに冷凍されていたのであった。