138.迷子のお兄ちゃん
ショッピングモールに行った、ツヨシ(大2)、タダシ(小1)、チャコ(年中)、ダイゴ(年少)。
ツヨシと、下の3人とではぐれてしまった。
下の3人は携帯電話を持っていない。
どうしようかと、ツヨシが考えあぐねていると、館内放送が入った。
「迷子のご連絡を致します。志武ツヨシちゃん、志武ツヨシちゃん。1階、インフォメーションセンターまで来てください。繰り返します……」
「なぬ? ひょっとしてあいつら……」
ツヨシがインフォメーションセンターに駆け付けると――。
タダシ、チャコ、ダイゴの3人が、インフォメーションセンターのお姉さんたちに相手してもらいながら、ツヨシを待っていた。
「すみません、志武ツヨシと申しますが……」
ツヨシがインフォメーションセンター受付の女性に声をかけると、女性は「え?」とちょっと驚いたような顔をして言った。
「すみません。兄弟が迷子になったと、この子たちに聞いたものですから、てっきり小さいお子さんかと」
苦笑して詫びる女性に、
「いえいえ。こちらこそ、お手数おかけしました」
と、ツヨシは感謝の言葉を述べた。
ツヨシの顔を見ると、タダシが言った。
「あ、お兄ちゃん」
「みんな、迎えに来たぞ」
「もう、お兄ちゃん困るなあ。今度は迷子にならないでね」
「あのなあ」