136.今、投げたの……
今日も河原にやって来ている、コウジ(中1)とモモコ(小2)とチャコ(年中)。
モモコとチャコはダンス練習がひと段落すると、石拾いを始めた。
「あ、これ、かわいーねー」
「ホントだ、きれー」
2人の妹たちは、ああだこうだ言いながら石を拾っては、川面に向かって投げている。
コウジも1こ拾って妹たちに見せた。
「これは、どうだ?」
「わあ」
「おもしろい形ー」
「投げちゃってもいい?」
「うん」
「いいよ」
コウジは、持っていた石を川面に向かって投げた。
小学生まで野球をやっていただけあって、フォームがなかなか決まっている。
投げられた石は、川面で何回も跳ねてから沈んだ。
「お兄ちゃんすごい」
「かっこいいー」
感心する妹たち。
「いや、それほどでもないよ」
「お兄ちゃん、今何時かな?」
モモコに言われてコウジはポケットからケータイを出して時刻を確認し、言った。
「そろそろ帰った方がいいな」
「じゃあ、行こうか」
「うん」
コウジは、またバッチリの投球フォームで、持っていた物を川面に向かって投げた。
さっきより多く跳ねてそれは水中に沈んだ。
「お兄ちゃん」
「すごいだろ、モモコ」
「今のケータイ」
「なにいいいいいいいいいい!」