122.脱がせて~~
「あーん、もう、いやーーー」
ヘルメットの中で叫びながらアカネ(高2)は400ccのオートバイを走らせていた。
天気予報にもなかった突然のゲリラ豪雨で、オートバイで出かけていたアカネはびしょ濡れになってしまったのだ。
自宅に帰りく頃には、下着までぐっしょり。
「ただいまーー」
アカネは水滴をしたたらせながら玄関のドアを開けた。
「おかえりーー」
オートバイのエンジン音で帰宅を察していたヒロシ(小4)とモモコ(小2)が迎えに出てきた。
「うわあー、お姉ちゃんすごいねー」
とモモコが言えば、
「引っ張ってあげるから、とにかく脱ぎなよ」
とヒロシも言う。
「うん、お願い」
上着の前ボタンを全て外し、開く。
両手を後ろに回し、ヒロシとモモコに片腕ずつ服を引きはがしてもらう。
パンツ(ズボンのこと――念のため)もヒロシとモモコに2人がかりでおろしてもらった。
ぴったりタイトなものを身に着けていたため、びっしょり濡れてどうにも脱げなくなってしまっていたのだ。
「お姉ちゃん、背中のホックも取ってあげようか?」
「うん、頼もうかな」」
アカネがモモコの申し出を受ける。
「あたしも早く胸にこういうの着けられるようになりたいな」
「だいじょうぶ。直ぐだよ」
「姉ちゃん、これで床をぬらさないで風呂場まで行けるよーー。お風呂わかすスイッチも入れといたーー」
風呂場までタオルを敷いて道を作ってくれたヒロシが言った。
「ありがとう、助かったーー」
濡れた衣類をまとめて抱えると、さっそく敷かれたタオルの道にポタポタしずくを落としながら、アカネが浴室に向かった。
浴室に入る時、アカネが大きな声で誘った。
「ヒロシとモモコも、もう一緒に入っちゃおーかー」
「どうするお兄ちゃん?」
「姉ちゃんの服脱がせる時、ちょっと僕たちも濡れちゃったしな。入っちゃおうか」
その日の一番風呂に仲良く入る3人であった。