118/340
117.ツタンカーメン → のり巻き
夕方。
アカネ(高2)は、部屋のすみにタオルケットにくるまった何かが転がっているのに気付いた。
シルエットはまるでツタンカーメンだ。
「なんだ、これ?」
アカネがタオルケットを転がすと――。
寝ているハヤト(高1)が転がり出てきた。
今日のサッカーの試合疲れで、帰るなり眠ってしまったようだ。
起きない。
このままにしておいたら風邪を引いてしまうかもしれない。
「しょうがないな」
アカネは毛布の上に再びハヤトを転がし、今度は頭だけ出してのり巻きみたいにしておいた。