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105.ちょんちょん

「志武、途中まで一緒に帰らないか」

 生徒会活動を終えての帰り道。

 アカネ(高2)に先輩の坂野リョウが声をかけてきた。

 リョウは去年までの生徒会長だ。

「毎日忙しいだろ?」

「大丈夫です。生徒会のみんながよくやってくれるし。それに弟も時々手伝ってくれるんで」

「弟? ああ、確か1年の……ハヤト君だったかな」

「ええ。よくご存知ですね」

「彼は有名人だよ。困った時いろんな部活の助っ人をやってくれるという事でね」

「そうですか?」

「ああ、今、妹のサッカー同好会のコーチをやってくれているというし」

「そうでしたね。マリや弟から聞きました。――あ」

「どうした?」

「コウジーー」

 アカネは前を歩いている男子中学生に声をかけた。

 振り向くと、それはアカネの弟コウジ(中1)だった。

「あ、姉さん」

「コウジも今帰り?」

「うん……。あ、こんにちは」

 コウジはアカネの隣にいる男子高校生に気がつくと挨拶した。

「こんにちは……。志武、もしかして弟さん?」

「ええ、コウジっていって中学生なんです」

「そうか。コウジ君はじめまして。アカネさんの高校の3年生で坂野リョウと言います」

「どうも……。アカネの弟で志武コウジです。中1です」

 3人は一緒に歩き始めた。

「その持っているのはトランペットかい?」

 リョウはコウジの持ち物に気付いて言った。

「はい。部活で吹奏楽をやってるもんで」

「そうか。志武は確か中学のときバレーボールをやってたよね」

「先輩、よくご存知ですね」

 アカネがちょっと驚く。

「高校では生徒会専念で部活はやってないけど……。コウジ君は何かスポーツとかやらないのかい?」

「僕は小学生のとき野球をちょっと」

「先輩、コウジは吹奏楽部所属だけれど、時々野球部の助っ人にも行ってるんですよ」

「へえーー、やっぱりハヤト君の弟だけの事はあるね」

 リョウが感心する。

「姉さんやめてよ。親バカというか、姉バカみたいなこと言うのは」

「いいじゃない」

 アカネとコウジは言いながら、お互いちょんちょんつつき合っている。

 姉弟仲がいいんだな――リョウは思った。

 自分にも年子の妹マリがいるが、こういう感じではない。

 特に仲が悪いというわけではないが、良くもないというか……、お互い照れみたいなものもあって、高校で会っても家でもあまり話をしないのだ。

 リョウがそんなことを思いながら歩いていると――。

「あ」

 アカネがまた声を上げた。

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