100.外から帰ったらきちんと手洗い
「ちょっと2人ともおいで、やり直し」
キイロ(中2)が、外から帰ってきて手洗いを終えたヒロシ(小4)とタダシ(小1)を呼び止めた。
「なんで?」
「ちゃんと洗ったよ」
と、ヒロシ、タダシ。
「見せてごらん。ほら、汚れが残ってるでしょ」
ヒロシとタダシの手を取ってキイロが言った。
「こっち来て。ミドリも手伝って」
キッチンの流し台に来た。
洗面所だと1人しか使えないが、キッチンの流し台ならば2人並んで使える。
タダシの背中にミドリ(小5)が、ヒロシの背中にキイロがそれぞれ回り、二人羽織りみたいになって手を洗ってやった。
「はい、こうやって……。指先、手の甲、手のひら、手首、腕の方まで洗うんだよ」
キイロとミドリが指導する。
「えー、めんどくさいな……」
と、小声で言いながらも、お姉ちゃんに背中から密着して教えてもらってヒロシもタダシもまんざらでもなさそうだった。
「はい、自分でやってみて」
2人の姉たちに言われ、2人の弟たちは教えられたとおり丁寧に手洗いをした。
「じょうず。きれいになったじゃない」
お姉ちゃんたちにほめられて、弟たちも気分がいい。
これ以来、前よりは少しだけ手洗いを丁寧にするようになったヒロシとタダシであった。