9.早く入れてよ
シャンプーは、使い切った者が補充するのが志武家のルールだ。
ダイゴ(年少)、タダシ(小1)、ヒロシ(小4)で風呂に入っている時、シャンプーが無くなりそうになった。
「ねえ、もうすぐ無くなりそうだよ」
タダシが言ったが、
「いいよ、いいよ。ちょっと水足しとこうぜ」
ヒロシは容器にちょっと水を足した。
次にチャコ(年中)、モモコ(小2)、ミドリ(小5)が入った。
「お姉ちゃん、そろそろシャンプー補充した方がいいかな?」
モモコに言われ、ミドリは容器を振ってみた。
思ったより減っていない。
というか、昨日よりむしろ増えているような?
「まだ、大丈夫だよ。」
チャコ、モモコ、ミドリはそのままにして風呂を出た。
コウジ(中1)、ハヤト(高1)、ツヨシ(大2)が入った。
ハヤトがシャンプーし、次にコウジがシャンプーした。
「兄さん、そろそろシャンプー空だよ」
「じゃ、俺の分はちょっと水足しておいてくれ。風呂出たら補充しよう」
ツヨシはそう言い、水っぽいシャンプーを使った。
でも、風呂から出たら、3人とも補充の事をすっかり忘れてしまった。
最後にキイロ(中2)、アカネ(高2)、アオイ(大1)が入った。
「やけに水っぽいシャンプーねーー」
「ていうか、ほぼ水じゃん」
「もー、また足すの忘れたのねーー」
もちろん、姉たちが入浴後きちんとシャンプーを補充したのは言うまでも無い。