エピソード1~チャプター2~
「あのフレームが何者かわかった?」
「さぁ?さっぱり。」
マエダがパソコンから離れた。
「フレームはバリエーションが豊かです。小型のイクシードフレーム、大型のアドバンストフレーム、バイク型のツイローフレーム…このバリエーションの事をパターンと言います。」
「軍の養成施設で聞いたことがある…でもあんな装甲…」
「ええ、初めてです。さっきEicoPと対立している国、カイスの軍…サヲリさんのいた軍にデータを送りました。おそらくすぐシークレットフレームに登録されるはずです。」
「シークレットフレーム…」
「ええ。フレームの中でも正体不明、かなり強力かつ危険なフレームにつけられるパターン。それがシークレットフレーム。」
マエダが酒と缶詰めを取り出した。
「サヲリさんもいかがです?ふふふふふ…」
「いいわ。つまりそのフレームは…ん?緊急速報?」
テレビからだ。
「先程、戦闘していたブラッドチェリーからのデータ通りならこれは現行で最強のアドバンストフレームになります。カイスの本部では緊急対策チーム"バリスタ"の結成が行われました。」
二人組を意味する言葉、ブラッドチェリー。もはや世間に浸透しきっている。
「識別コードはダブルツイストのPX-1とAZ-7.5である事がわかりました。」
「マエダ、識別コードって何?」
「識別コードっていうのはその名の通り、フレームを識別するのに使用するシグナルです。」
マエダがパソコンを開いた。
「識別コードはシングルツイストにコードが一つ、またはダブルツイストにコードが二つ。コードは三種類。行動ブーストコードLXとEIcoPコードAZとカイスコードPXが…」
「ちょっとまって!じゃあそいつはEIcoPとカイスと二つのコードをもっているわけ?」
「はい。ただそれより気になる事があります。このフレームの識別コードを解析したところ、名称がありました。その名称はメガリス。これに対をなすアドバンストフレームかあるようなんです」
「対を…なす…?」
「はい。それの場所も特定出来ています。ここから200kmの所です。すぐ行きましょう。」
数時間後…
チベラッパ山上空にて…
「ロック解除、イクシードフレーム投下!」
「目標地点まで残り数キロです」
「了解…あれかしら?」
小さな小屋がみえた。
「あれです」
「ハッチオープン。」
コックピット内に電子音声が響く。
「ハッチガヒラキマス。」
「うっさいわね。しってるわよ。」
マエダは念のためと言っていたが、はっきり言ってこの電子音声はうるさいだけだ。
周りには何も無い。ここまで高い所にあるわけが無いのだが…
「小屋に突入する。」
「私の予想では、メガリスはまだ100%の力を出していません。今までのシークレットフレームはメガリス以外で5種。クラウン、アヌビス、イエティ、シャドー、ファントム。この5体は強力ではあるものの高エネルギーライフルをよける事が可能でも防ぐことは不能です。シークレットフレームは謎が多いですがここまで強力なのは初めて見ました。」
「見つけたわ。」
画面を起動させる。凍っているので動かないと思ったら、案外普通に動いた。
画面にはライトニングフレームと表示された。
「マエダ、ライトニングフレームって?」
「ライトニングフレーム…まさか…?!」
「しってるの?」
マエダはフレームについて人一倍詳しい。
「ライトニングフレームは骨格、高エネルギーのメガニウムを半永久的に作りだすエナジーメーカー、カルパトロンを使用した空間圧縮型格納システム、コックピットから出来ています。装甲はメガニウムに275.5Vの電流を流すと発生する、物質変換の形質を利用しています。特に異常なのは骨格に付いた駆動装置はあくまで骨格のみの行動用であり装甲を得た後は、装甲表面を走るエネルギーラインによって動きます。」
「不思議な作りね。」
ドンッ!!
「敵襲です!すべてが、アドバンストフレーム?何かおかしい!とにかくそこから離れて!」
イクシードフレームは外だ。今から外に出るのは危険だ。とすると…
「マエダ、操作サポート頼むわ。」
「は?」
操作コンソールでロックを解除し、コックピットに入る。
画面に国旗が表示された。言語選択だろう。
「日本語。」
「おはようございます。戦闘支援システムSALAです。操作または命令をどうぞ。」
エナジーメーカーを起動させた。
「Ready...」
操作はモーショントレース。最新鋭の機体だろう。
「Start!」
起動した。
「こっからどうすりゃいいのよ!」
「とにかく敵機を破壊してください。そのあとはこちらから何とかします!」
「ユーザー(搭乗者)は?」
「相手は無人型です。」
SALAが答えた。
「分かったから黙って。電子音声は苦手なの。」
「命令を確認。」
小屋の中には窓が一つ。そこからはアドバンストフレームの接近が目視で確認出来た。
「いくわよ…」
そのまま軽く飛んだつもりだったが、恐ろしく飛び上がった。
「出力が高すぎる!これが普通!?」
右腕に搭載されたホーミングレーザーで敵を破壊すると瞬く間に敵のスクラップは機体の上半身になった。
「あと一体!」
後ろの一機に回し蹴りをいれ破壊した。
完全に装甲を得たその機体は青く輝いていた。