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WHITEMUSKはあなたのキスを思い出す

作者: 美羽

アロマコーナーを通りかかった時に、懐かしい香りがして胸がギュッとなった。


WHITE MUSK


少し甘くて、優しくて、なぜか泣きたくなるの。

あなたのキスと同じ。

あなたに愛されたあの日々を思い出す香り。


夕暮れ時になると、小さな部屋に置かれたシングルベッドに西日があたって眩しかったね。オレンジ色の光に照らされた背中が愛しくて、手をのばすと

「擽ったいよ」

って笑いながら振り向いて、抱き寄せてくれる。


19歳の春に初めてくれたキスから、何千回唇を重ねても、当たり前になった事なんてなかったよ。その肩が、その腕が、その手が、その瞳が、その聲が、いつも私の胸をキュッとさせた。


とても優しいキスなのに、幸せな分だけせつなさが襲ってきて泣きたくなるの。

その不安を消したくて「止めないで」って、ため息と一緒に言葉にしたら、あなたは困ったように小さく笑って、また唇を重ねた。


あなたの腕の中では、私はただの女の子に戻ることができた。妻でも母でも社会人でもない、ただの女の子に。


愛された後は深く眠れた。


WHITE MUSKの香りの中で、時間が止まってしまえば良かったね。


こんなにも好きになれる人は、きっともう現れない。知ってるけど、戻れない。


WHITE MUSKの香りの中で、あなたのキスを思い出して眠ろう。

少し甘くて、

優しくて、

泣きたくなる香りの中で。



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