四話 ハトに乗って良い事になりました
四話 ハトに乗って良い事になりました
エスパーダはアックスに運賃を払う代わりにハトに乗らせろと言い出した。
当然アックスは難色を示した。どうやら小人にとってハトは車と同じ価値観があるようで、エスパーダの気軽さが信じられないといった顔をしている。
「サイズも乗りたいよね? そんな格好してるんだもん」
エスパーダはサイズをクレクレの仲間に引き入れた。
サイズはゴーグルをつけて、ツナギのような服を着て、その上にベストを着ている。昔の戦闘機乗りのコスプレみたいだった。
「今日のために就とあの人が作ってくれた」
サイズは結構気に入っているようだ。襟の毛皮がハムスターの物を使っているそうで、エスパーダに自慢してきた。
「ハムスター……」
なぜ二人がハムスターの毛皮を持っていたのかを考えると、要は怖くなった。
「もっと着た感を味わいたいだろうから、サイズを乗せなさい。後、私も乗りたい」
最後のほうが本音みたいだ。
「いや、無理だよ。だってエスパーダ……重いだろ」
エスパーダが再び怒る。
「なんて事言うの!」
「俺は重さを消せるが、エスパーダはそういう物は持ってないじゃないか」
冷静に原因を言って、エスパーダを黙らせようとする。
「ハトに重さをかけないようにしてるんだ」
「じゃあサイズは? なんで載せたの?」
エスパーダは食い下がった。
「客用の重さを消すベストだ。タクシーやるには必須の品だぞ」
「じゃあ、これを使えば私も乗れるじゃん!」
「そうなるとサイズは乗せられないけど」
要が指摘するとエスパーダは黙った。が、サイズに近付きサイズの肩に手を置いた。
「乗りたいの。良いよね?」
「う、うん……」
サイズはエスパーダの圧に負けていた。あっさりとベストを渡してしまう。
エスパーダは自室で着替えた後にベストを着て、現れた。身体のラインが出まくっているライダースーツだ。アックスは見とれていたし、要も写真を撮った。
「ハト貸して」
「……はい」
アックスは了承してしまった。
「ありがとう。ちょっくらドライブに行ってくるわ」
エスパーダはハトに乗って飛び立って行った。要はなんとなくマダムを思い浮かべていた。