三話 支払いでモメました
三話 支払いでモメました
「いや、だから、この子連れてきたんだから、運賃をいただかないと」
「この子じゃない。サイズだよ」
サイズが言った。
「そう。サイズを連れてきたのだから払って欲しい」
アックスは真剣だ。まだハトのも取っていないのだろう。
「能ちゃん……頼んできた人間は?」
「お義姉様が払ってくれると言ってたが」
「あいつめ……」
要はため息をついた。しかしエスパーダは違った。
「悪いけど払わないよ。頼んだのは能ちゃんなんだから」
「それは困る! いくらエスパーダの知り合いだからって、料金踏み倒されるのは困る」
「子供一人を乗せるほうが悪い」
「は? 子供?」
アックスはサイズを上から下へ見て、胸の辺りで一旦視線を固定した。
「サイテー!」
エスパーダとサイズが非難の声を上げた。要としては気持ちは分かるが、味方にはつけない。
「サイズはまだ六歳だそうだ」
「え?」
アックスはもう一度同じ動作を繰り返した。当然二人に怒られる。
「信じらんない!」
「セクハラを受けたら慰謝料よね」
二人は頷きあう。どうやらいちゃもんをつけて、タクシー代を踏み倒そうという気だ。
「エスパーダ、それは良くない」
さすがに要が止めに入る。
「慰謝料は有責者が払うんだよ」
サイズはいつ覚えたのか難しい単語を使ってる。その程度で煙に負けると思われてるとは片腹痛い。
「タクシー代払わないのも有責なんじゃない?」
そう言ったらサイズが黙った。
「だったらセクハラをタクシー代を相殺してこの話は終わりにしましょ」
エスパーダが勝手な事を言う。そこまでして払いたくないのか。
要は言った。
「行きは踏み倒せたとして、帰りはどうするの? アックスは送ってくれないよ」
エスパーダも黙った。
「きちんと払ってくれ。見た事は謝るから」
アックスはエスパーダと和解に向けて話し合いを始めた。