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十話 タクシー代を払いました

十話 タクシー代を払いました



 要は三人にその場を任せて、スーパーに買い物に行った。杏仁豆腐とエスパーダの昼ご飯を買うのだ。アックスの印象を悪くすることに成功したが、エスパーダの麻婆丼を横流しした事は許してもらえない。結局新たに作るエスパーダの昼ご飯を豪華にして、あなたのお昼は特別だ感を出さなくてはならなくなった。


 豆腐より食った感を出すためには、肉か魚が良いだろう。ちょうどメバチマグロが安かった。


「鉄火丼だな」


 前に刺身を食べさせて、エスパーダが好きな事も知っている。安い刺身とはいえ、豆腐より材料がかかっている。納得してくれるだろう。


 買って帰って、早速作った。



「ずるい、エスパーダ」


 作った鉄火丼を見て、サイズが不満を漏らした。それにエスパーダは気を良くしたようだ。


「サイズは麻婆丼食べたでしょ」


「超能力使うとおなか空くの」


 ここで同じ物を出すと特別感がなくなる。エスパーダのために犠牲になってもらう事にした。


「ごめん。みんなに杏仁豆腐買ってきたから、それで我慢して」


「むー」


 エスパーダが鉄火丼を食べている中、サイズに杏仁豆腐を皿に盛ってあげた。スプーンはエスパーダの物を使う。人間にとっては普通の杏仁豆腐でも、小人にとってはバケツプリンくらいある。目の前の杏仁豆腐に、サイズの不機嫌さを消し飛んだ。


「味濃いけどうまい」


 サイズは大喜びだ。アックスにも与えてみる。


「甘すぎる。甘すぎるぞ」


 文句を言いながらも食べている。食べるなら感謝してほしいと要は思った。


 二人が仁豆を食べているとエスパーダがむくれた。


「私も杏仁豆腐食べたい!」


「後でね」


 要と一緒に食べてもらうつもりだったのでそう答える。それでもご機嫌斜めである。要が用意した特別は孤立を深めてしまったようだ。


「エスパーダ、一口食べる?」


 サイズは気を遣ってくれている。ホントは大人のエスパーダがやるべき事なのに。


「ううん、私は要と一緒に食べるわ。マグロは今しか食べられないもの」


 感謝しつつ、マウンティングをしている。でもサイズには効いていないようだった。


「エスパーダ、そろそろタクシー代を払ってくれないか」


 サイズより先に杏仁豆腐を平らげたアックスはスマホを突き付けた。どうやらスマホ支払いの画面になっているらしい。


「私が払うの?」


 なぜか要を見てくる。


「ハイマースに乗る前に約束しただろ。彼にはハイマースのケガに対する補償をしてもらうつもりだ。負担を増やすのは悪い」


「ケガの補償? サイズが治したじゃん」


「超能力でハイマースが治ったか検査しなくてはならない。検査には金がかかるんだ」


 エスパーダはなおも要を見てくる。


「ここは払ってくれ。ケチは交友関係を狭めるよ」


 要はあえて助けない事にした。こっちは不用意な発言をしたせいで検査代を出すことになったのだ。


「分かったわよ、いくら?」


「千五百円だ」


 意外に安かった。エスパーダはスマホ決済をする。決済が完了したことを告げる独特な音がした。


「まいどあり」


 笑顔を見せるが、未だに血まみれだ。アックスだけでなくエスパーダもサイズも。


「エスパーダ、サイズを風呂に入れてくれないか?」


「風呂……」


 アックスは二人の身体を見てしまう。


 その視線の動きはあっさりエスパーダにバレた。


「サイテー!」


 アックスはまた好感度を下げた。



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