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仲良し姉妹

作者: 皆月ななな

二人の男が目をつけたのは、女子高生と女の子の二人組。

男→女の子への憑依モノ作品です。


この作品はPixivにも掲載しております。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8450018


皆月なななのTwitterでは他のSSや同人作品も公開中!

https://twitter.com/nanana_minaduki

ある夏の日。

平日昼間から茹だるような暑さの中、二人の男が歩きながら話していた。

「あっちぃな……なんか面白れえことしてえなあ」

「そうですね、先輩……そろそろ、『アレ』しときます?」

「先輩」と呼ばれた男は若い外見で、20代前半と言ったところだろうか。

一方そう呼んだ男の方は30代半ばから後半という出で立ちだ。

周囲にはその会話を聞くものも、気に留めるものも居ないが、もし聞いている人間がいたら奇妙に思ったかもしれない。


「『アレ』かあ……ちょっと早いような気もするが、もう『コイツになってから』結構経つもんなあ」

「そうですよ。それに『男の身体に長く居ればいるほど』、余計に滾ってくるんですよねぇ」

「……お前は若いなあ」

「周りから見たら、先輩のほうが若く見えるんですけどね」

呆れたようにそう呟く「先輩」に向かって、若いと言われたほうの男はぷっ、と笑って言った。


「そうかも知れねえけどよぉ、生きてる年数は俺のほうが断然上だろ?精神年齢、っていうかさ」

「とはいっても、確かそんなに変わりませんよ。数十年ぐらいじゃないですか?」

「うーん、そうだっけ?ま、いいか……次に『アレ』するときは、俺はもっと若さを感じられる身体を使うとするかな」

「あーいいっすねぇ……次は性別、どっちにします?」


先輩の宣言を軽く聞き流すと、男はさも重要なことだと言うように声のトーンを低くした。

「うーん。お前は今度、女なんだろ?」

「ええ。元が男だからか、女の身体に入ってるときのほうが興奮するんですよね」

「それじゃ俺がまた男ってのもいいが……なんだ、結構男続きだったからなぁ」

「いいじゃないですか、先輩も女で。OL同士とかでイチャつくのも楽しいと思いますよ?」

「まあ、そうするかあ」

「先輩」も、そういうのもアリかな、という感じで頷く。


「じゃ、こうしません?次に目に入った女二人組に『入る』ってことで」

「えー……オバサン二人組だったらどーすんだよ」

「そういう趣向も意外にありかもしれないですよ。試してないだけで」

「ええー……とにかく俺は若い身体がいいの!」

「じゃあ、先輩が二人組のうち若い方の身体を使う、ってことでどうです?」

「あー……まあいいけど、もし飽きたらすぐ『次』いくかんな!」

はいはい、と笑って後輩が受け流す。

と、次の瞬間、遠くの方を見てニヤニヤと先輩の方を向く。

「あー、こりゃ面白いことになりそうだ。……先輩、ほらあれ」


「……ん?」

指差した先には、おそらく学校帰りと思われる女子高生の姿があった。

「おお!JKじゃん!JK!」

ガッツポーズする先輩に向かって後輩は首を振る。

「いや、先輩、よく見てくださいよ」

「ん……?あっ」


よく見ると女子高生の陰に、ちょこん、と言った感じで背丈の小さな女の子が一緒に歩いている。

ぴかぴかのランドセルは、女の子の背丈に似合わず大きく、女の子がランドセルを背負っているんだか、ランドセルに背負われているんだかわからない。

ちょこまかとした動きに見えるのは歩幅が小さいからだろうか。

仲睦まじそうに、談笑しながら歩いているようだ。


「……先輩、『若い方』って約束ですよね?」

「確かに若いけどさあ!若すぎないか!?」

「まあまあ。じゃあ、善は急げです。行きましょう――」

言うか言わないかのうちに、後輩がふっと意識を失ったようにぐったりする。

やれやれ、とばかりにため息をつきながら、先輩がその身体を支えると、慣れた手つきで壁沿いに座らせる。そして、自分も座ると、先輩のほうも意識がなくなったようにぐったりしてしまった。


と、談笑していた女子高生が、一瞬呼吸困難になったような反応を見せて立ち止まる。

「ひぐっ」

「……おねえちゃん?どうしたの?」

心配そうに見上げる女の子。

「…………」

虚空を見つめるようにして立ちすくんでいた女子高生の目に焦点が戻ってくる。

きょろきょろ、と落ち着かない様子で自分の制服の胸元や、スカート、太ももなどを確認している。

と、女子高生がガニ股になり、急にスカートの上から自分の股間のあたりをスリスリと撫であげはじめた。

「ああ~……そうそう、この感じこの感じ。やっぱこのスッキリした感じが醍醐味だ……。『ないっ!』って感じで。ねぇ先輩。……先輩?」

うっとりした感じで女の子に「先輩」と話しかけていた女子高生が怪訝な感じで女の子の方を見る。


「おねえちゃん……いきなりどうしたの?おしっこしたいの?」

「やだなぁ、先輩。いきなり放尿プレイ要求ですか?レベル高すぎません?それは後々やりますんで、まずは色々確認させてくださいよ」

そう言うと女子高生は女の子に向かって片方の口元を歪めて見せ、下品に笑った。


「やだ、おねえちゃん、こわいよ、べつのひとみたい」

「あれぇ……これもしかして乗り移れてない?せんぱーい、往生際が悪いですよー」

女子高生があたりを見回して呑気そうに声をかける。傍から見ると、誰もいない空中に「誰かいるかのように」話しかけている。

「だれなの……こわいよ」

「あー、えーっと、ほら、怖くないよ、いつものお姉ちゃんだよ~」

ご機嫌を取るかのようにぶりっこポーズを取る女子高生。


「……じゃあ、わたしのなまえいってみて」

警戒した様子で後ずさりしながら女の子が言う。


女子高生は目を一瞬丸くしたあと、「あちゃ~」という感じで答える。

「あー……最近の子はカンがいいなあー。ごめん、お姉ちゃんあなたの名前わかんないや。でも私はどこから見てもお姉ちゃんでしょ?信じて~」


次の瞬間、ランドセルに付けていた防犯ブザーの紐を女の子が引っ張ろうとする。

あ、と声を上げて女子高生が静止しようとする。

間に合わない。そう思った次の瞬間。

「ひうっ」

女の子が先程の女子高生と同じような声をあげると、紐を引っ張ろうとしたまま固まってしまう。

徐々に、徐々に、女の子の目にも焦点が戻ってくる。


「……あぶねえところだったなぁ」

女の子が舌っ足らずな声でつぶやく。先ほどと同じ声だが、どことなく雰囲気が違う。

「さいきんのこどもはけいかいしんがつよいんだからよ、きをつけろよ」

「そんな事言ったって、それは先輩が早く憑依しないからでしょう」

ぷぅっと頬を膨らませながら女子高生が言う。

「すまんすまん。けど、なまえわかんねえのに『しんじて~』もないもんだぜ」

「まあ、それはそうですけど。じゃあ、早速確認しときますか」

そう言うと女子高生はカバンを降ろし、がさがさと荒っぽく何かを探し出す。

女の子のほうも、ランドセルの内側に自分の名前を発見した。


「先輩、こっちの子の名前は『吉川さくら』ですって。さくらちゃんかぁ……くぅ~可愛い名前!俺はさくらちゃん、俺はさくらちゃん…… オッパイも大きいな…… 」

女子高生は自分の名前を連呼しながら胸を制服の上から揉んでいる。

「こっちは、『よしかわ ゆあ』ってかいてあるなぁ。かんじでかいてないが……」

「まあ、『俺達の能力』を使う上では別に漢字かどうかは関係ないでしょう……名前だけわかれば、記憶を引き出せるんだから。んんっ」

言いながら女子高生は額に手を当てると、呟くように言う。

「吉川さくら……年齢は17歳か……聖カトレア高校に通ってる……お嬢じゃん。今日はたまたま、妹の有愛を迎えに来たところ。ふむふむ」

女の子のほうも同様に記憶の読み込みを始める。

「よしかわゆあ……10さい……せんとかとれあしょうがっこう、3ねんせい……」


さくらのほうはふー、っと息をつくと、有愛に向かって言う。

「この子、妹のこと大好きみたいですよ。愛情がすごく伝わってきました。いい子ですねえ……ますます好きになりました、この身体」


言い終わらないうちにさくらは自分の身体を抱きしめながら、自分の匂いを嗅ぎ始める。

「はぁ……俺すごいいい匂いだよ……あ、先輩も嗅ぎます?……先輩?」

有愛はむくれながら先に歩きだしていた。


「ちょっとー、先輩!待ってくださいよ~」

慌てて追いかけるさくら。

「うう……」

「やっぱ不満なんですか、先輩?」

「べつにいいけど」

「あ~ほんと有愛ちゃんかわいいっすね……この身体に多少引っ張られてるのかなあ」

言いながらさくらは、有愛の頭に手を載せる。

「だいたいだな、そもそも、おれのおもってたのはこうじゃなくって、もっとこう……」

うんうん、とさくらが慈愛の目で見つめる。

「ほうまんなおんなのからだにひょういしてたんのうしたいっていうか……」

有愛のあどけない顔つきからは想像もつかないような単語が飛び出し、さくらは笑いを噛み殺しながら言う。

「まあまあ先輩、なんならその身体にしばらくいたらどうです?母親が結構いい身体つきですし、その子も成長すれば……」

言われて有愛も、少し記憶を探ってみる。


「う、たしかに、このこたちのははおやは、すげー、いいからだしてんな……」

「まだ有愛ちゃんも一緒にお風呂入ってるみたいですね」

「う」

ぴくり、と反応する有愛。


「やっぱ幼女の醍醐味って、成長してくところだよな~!俺じゃあもうこの子の母親とお風呂入ったりできねぇしな~!」

「そ、そうか?たしかに、これからだよな」

「先輩さえ良ければ、俺は何年でも付き合いますよ、この身体で」

「よ、よし!おまえよりないすばでぃになってやるからな!みてろよ!」

「ちょろい」

「なんかいったか?」

「何でもないっす!あぁ~先輩カワイイなぁ~!!」

有愛の髪をわしわしと撫でまくるさくらであった。


---


「ただいまー!」

「おかえり、あら有愛ちゃん、今日はご機嫌なのね?」

「うん!おねえちゃんに、たくさんいいことおしえてもらったの!」

「あら、そうなの?良かったわね~。さくら、お迎えありがとうね」

「んーん、良いの良いの、お母さん。ところで汗かいちゃったから、早速お風呂場で堪の……シャワー浴びて来るね!」

「ねえママ、きょう、ゆあ、ママといっしょにねてもいいでしょ?」

「あらあら、どうしたの有愛ったら、いきなり抱きついてきて、赤ちゃんみたいね?」

「うん!これからしばらくいっしょのおふとんでねたい!」


一家は今日も平和だった。

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