因幡の国忠臣 木島吉嗣04
この小男、極悪ウサギ並みの怪力。
それに猫丸殿を倒すだって?
聞き捨てならんことを言ってる。
たぶん、あの小男が一番下だろう。
そう考えると市場の自治組織くらいでは手に負えないだろう。
こういうときはわたしの出番だ。
わたしは、傾奇者たちのところに駆け付ける。
「ちょっと待て、猫丸殿を倒すとか言ってたな」
「そうだアリ。猫丸将棋隊を倒したら、俺たちは武士にしてもらえるアリ」
「俺は木島吉嗣と申す。
猫丸殿の親衛隊長だ」
「もしかして、おまえが将棋隊アリ」
「そのようなものだ。
猫丸殿の近くにお仕えしている」
「丁度いいカブ。
こいつの首を猫丸への手土産にするカブ」
一本の立派な角を生やしたいちばん大きな身体の男。
たぶん、こいつが大将だ。
「では、こいつを殺すアリ」
小男がわたしの前に出る。
この怪力小男がわたしの相手か。
まあいい。
わたしも最近羽無殿や怪力ウサギに鍛えてもらっている。
生半可なやつに負ける気はしない。
雑魚で力だめしをするのもいいだろう。
「木島吉嗣参る」
「おれは武士じゃないがな。
名乗ってやろう。
黒塚蟻道だ」
わたしは剣を蟻道は無手で構える。
以前のわたしなら、ここで突っ込んでいくところだ。
だけど、羽無殿の教えどおりすぐには動かない。
力を抜いて相手を観るのだ。
そこに集中すると、たどるべき剣筋が見えてくる。
そしてそれが観えたら、先手必勝というのは極悪ウサギの教え。
極悪ウサギには教えを乞うた覚えはないが、勝手にいろいろ教えてくれている。
隙をみて殴ってきたり、投げ飛ばされたり。
何度も死線をさまよった。
だが、そのおかげでたいがいのことには耐えられるようになった。
根津吉殿はイジメじゃないのって言うんだけどね。
おかげで、この強敵を前に落ち着いていられる。
わたしは蟻道の動きにあわせてじりじりと間合いを詰めるのだった。




