因幡の国忠臣 木島吉嗣02
因幡の国を訪れた大名たちは、その活気に驚く。
都から離れた因幡をほとんどの大名は田舎と考えている。
昔は蛮族の住む地域とされた地だ。
しかし、海はあり山もある、川が流れ肥沃な平地もある。
本当に豊かな地なのだ。
それはわたしが因幡出身というからそう言っているだけではない。
唯一、都から遠いということが欠点だが、逆に都の支配を受けなったかったという利点もある。
虎丸殿の頃はそれでもただの豊な田舎の地というだけであった。
しかし、猫丸殿が治めるようになってからこの国は変わった。
もちろん土地自体はかわらない。
変わったのは人だ。
この日輪でこれほど民衆がイキイキとしている国はあるのだろうか?
もともと富んだ国だったのが、民衆が富むことによってより豊になっているのだ。
これは猫丸殿がめんどくさいニャンとか言って、民衆を支配するのではなく民衆に任せるという方針をとったためだ。
それを逆手にとりあくどいことをする者もいる。
それは猫丸殿の烏丸殿と蛙沼殿の御庭番衆が見つけて取り締まる。
銀狼殿の作った警察機構がうまくいっているのだ。
因幡の国の市の繁栄にまず大名たちは驚く。
たくさんの店の店頭に山海の幸が山積みにされている。
街頭で音楽や大道芸のパフォーマンスが演じられる。
そのにぎやかさは、今の都にもない。
ここが日輪の都だといっても、おかしくない賑わいがある。
もちろん、ここに来るまでに因幡と同盟を結んだ国を通ってきている。
その国はみんな自国とくらべて富んでいる。
人々の顔が笑顔なのだ。
彼らは支配されているものではない。
大名たちは、猫丸殿に接見するころには自国も因幡のようにしたいと考え始める。
そこで、久里殿が因幡の陣営に入らないかと説得するわけだ。
大名たちは即決はできないにせよ考えはじめる。
無策の将軍より因幡につくほうが徳なのではと。
大名たちも戦が好きなわけではない。
国と民を守るために戦をしているだけなのだ。
支配を受けることになると、国は疲弊する。
国民は奴隷同様になり、食料や金は奪われる。
だから、できるだけ有力な大名につこうとしているのだ。
今のところ、自国の有利にことを進めるには力しかないのだ。
大名たちにとってあと重要なことは猫丸殿の人物だ。
噂のように激しい性格なら、むやみに支配下に入ることはできない。
大名たちは緊張して猫丸殿と接見する。
そして、ほっとした顔で部屋から出てくるのだ。
だって、天守閣にいるのは、あの猫丸殿なんだから。
猫には人間を安心させる効果がある。
大名たちは猫丸殿をみて与しやすしと考えてしまうのだ。
それで、猫丸殿の配下に入る大名は増えてきている。
今や日輪の半分は猫丸殿の配下となっているのだ。
そうなると、あの将軍が黙っていないだろう。
その時はわたしの出番だ。
わたしは来るときのために剣術の修練に励むのだった。




